横浜院長のひとりごと No.217 子どものための精神医学

hitorigoto-217a.pngこの忙しい時にIngressでまたイベントやってまして(前回はこちら)、来週の月曜(22日)朝までにレゾネーターを1,331本あるいは3,113本打ち込まなくてはならず、またあちこち歩きまわっている横浜院長の柏です。現在2,760本。とりあえず1,331本のメダルはゲットしたのですが、3,113本の上級メダル目指してまだ歩かねば(^_^;

hitorigoto-217b.jpgさて、前回に引き続き、発達症臨床に新たな光を与えてくれた本のご紹介、2冊めは滝川和廣先生の「子どものための精神医学」です。今回も、あくまでも当事者向けではなく専門家向け、ということでご了解下さいね。

滝川先生は児童精神科医ですが、名古屋で木村敏、中井久夫という精神病理学の大家の薫陶を受けており、子どもにかぎらず、精神医学全般の幅広い知識を余すことなくこの本につぎ込んでいます。第Ⅰ部では精神医学および発達論について書かれていますが、これが実に秀逸。幅広くかつ深い知識と考察がにじみ出る文章で、児童精神医学書にとどまらない名作です。第Ⅱ部が私にとってのこの本の白眉、発達障害論です。前回ご紹介した内海先生の本が、発達症の理念的理解を手助けしてくれるのに対して、この本は圧倒的な知識と経験に根ざして発達症の実際的理解を描出したものであり、臨床にそのまま応用可能な内容となっています。まず理解の基本として、「認識の発達」と「関係の発達」の二次元平面を提示し、前者が低値にとどまる知的障害、後者が低値にとどまるアスペルガー症候群、そして両者が低値にとどまる自閉症、と、当たり前のようで実は(少なくとも私は)ほかで見たことがない形でシンプルに図示されます。この「認識」と「関係」の発達の遅れからはじまり、さらには成長に伴うそれらの変化についても描かれます。その上で彼らの体験世界について詳細な分析、さらには支援について発育時期を追って書かれています。「診断よりもフォーミュレーションが大事」という言葉にまったく同感ですね。第Ⅲ部では子育ておよびその困難について、時代的変遷とともに述べられ、第Ⅳ部では不登校、いじめ、ひきこもりといった児童思春期の問題について、これも各時代背景を踏まえた優れた論説となっています。大人精神科臨床においても、発達特性のみならず、幼少期〜思春期の体験が病状に大きく影響している方もいらっしゃるわけで、児童思春期心性の深い理解は臨床家として欠かせないものです。もっと若い頃に読みたかった、そう思わせてくれる珠玉の一冊でありました。

子どもといえば、私が子どもの頃毎日見ていたTV番組にNHK「みんなのうた」がありました。いい曲揃いで、ラジカセ(うわー死語だ)をテレビに向けて録音してましたね。子ども心に感動した曲も多くありました。今日はその一つ「小さな木の実」を、私が子どもの頃のオリジナル、大庭照子の歌でどうぞ。この曲は、「みんなのうた」でもその後2回リバイバルされ、それぞれ別の歌手が歌っていたようです。さらには音楽の教科書にも載ったそうですね(私は知りませんでしたが)。

原曲はビゼーの喜歌劇「美しきパースの娘」のセレナーデとのこと。実はこちらはなかなかマイナーな曲で私も聞いたことがなかったので、この機会に調べてみました。

こちらですね。いい曲ですが、石川皓也の編曲による「小さな木の実」のメロディーラインの方が素敵に聞こえるのは、聞き慣れているせいだけでもない...ですよね。


こちらが喜歌劇全体のビデオです。セレナーデは1:05:25くらいから。それにしても「小さな木の実」、歌詞もあいまって今でも涙をさそわれますね。「みんなのうた」のほかの名曲も、またご紹介しますね。ではまた。

2017/05/15

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