横浜院長のひとりごと No.291 新潟の学会にて

hitorigoto-291a.jpg横浜院長の柏です。もう一週間経ってしまいましたが、先々週(になるのか?)は水曜夜から日曜夕まで新潟で学会三昧の日々を送りました。といいますのは、新潟市・朱鷺メッセでの日本精神神経学会が木金土、そして土夜〜日に同会場で日本生物学的精神医学会(BP)にも参加してきました。精神神経学会は、学会専門医の単位取得の関係もあって数千人が参加する巨大な学会でして、参加しているはずの知り合いとも一度も会えなかったりしました。

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私達のシンポジウムは、このように「ASDとADHDの臨床的特徴と鑑別診断」というタイトルで行われました。岩波先生たちとの発達障害関連のシンポジウムはこれで3年連続ですが、毎年狭い部屋で立ち見から廊下ですわって聞く人まですごい状況(発達障害への皆さんの関心の高さ...かくいう私も、今回ほかのシンポジウムでちょっと油断したら立ち見になりました...)だったのですが、今回はA会場(会場はQまであります(^_^;; )という巨大なホールでした。しかし、なぜかわれわれのシンポジウムだけ、ほかが昼休みでやってない時間帯に行ったためか、満席ではないものの相当数うまる状況で、岩波先生曰く「この学会で一番人が入ったんじゃないか」...事実かと思われます。他のセッションではASDとADHDの重複が当然、という風潮の中、その鑑別の重要性というメッセージは出せたかと思っております。

hitorigoto-291c.jpg日本生物学的精神医学会(BP)は、評議員にも関わらずずっとご無沙汰していたのですが、今回メイン学会とリンクした日程だったため久々に参加してみることにしました。精神科医は、精神病理、社会精神医学などなどそれぞれ自分のフィールドを持っているものですが、BPは精神疾患を生物学的な視点から見る立場の医師の集まりです。私自身も、今はクリニック勤務医として幅広い角度から患者さんに接することを肝に銘じておりますが、立脚点はあくまでも生物学的な立場において、脳の疾患としての精神疾患の診断・治療が私の目指すところであります。さてそのBP、おそらく十数年ぶりの参加なのですが、昔と比べての第一印象は「人が少ない...」でした。ちょうど巨大学会直後という錯覚もあるでしょうが、演題数なども明らかに昔より少ない印象です。すわ、生物学的精神医学を目指す若い人は減っているのか?と危機意識を持って臨みましたが、しかし(これは精神神経学会もそうでしたが)個々の研究のレベルははるかに高い域に達していました。ファンクショナルMRIを用いて脳内ネットワークの変化を解析したり、遺伝子プロファイルを調べたりすることはもう当たり前で、新たな診断法や治療法にすぐ結びつきそうなレベルの研究も見られました。テレビでもおなじみの池谷裕二先生の特別講演では、脳にAIチップを埋め込む、脳と脳をつなぐなどSFの世界と思われていた研究に実際に着手されている様子が語られました。ベルトさんことクリム・スタインベルトの世界ももう間近かも。がんなどは、10年後にはがん死する人がいなくなるのではないか、とまで言われています。これまで、精神科領域では研究と臨床の間に深い溝があったのですが、直接皆さんに還元できる時代が徐々にやってきていることが感じられた新潟の4日間でした。

今日から7月、学会続きで今月はNo.283でもちょっとお話した日本成人期発達障害臨床医学会なる新規学会の第1回学術集会があり、僭越ながら大会長を務めることとなっております。ここをご覧の成人期発達障害に関わる臨床家や研究者の方々の、多くのご参加をお待ちしております。専門家向けの学会ですので、当事者の方々はご参加いただけませんのでその点はご了解くださいね。
今日の一曲、ファランドールに続いて今回も同じビゼーのアルルの女第2組曲から、有名な「メヌエット」をエマニュエル・パユのフルート、ロッテルダムフィルハーモニーの演奏でどうぞ。パユはベルリン・フィルの主席フルート奏者ですが、さすがの演奏です。


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