横浜院長のひとりごと No.297 アポカリプス

横浜院長の柏です。9月になりましたが、実は今月は常勤の医師お一人がしばらくお休みをいただくこととなっており、私も含めた残りの医師がその医師の分もカバーした体制で診療を行います。そのため、待ち時間が長くなったり、ご希望の時間に予約が取りにくい状況が生まれることかと思います。また、初診・再初診の方も通常よりも待機時間が長くなるかと思われます。何卒ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。

さて今日は、またまたヲタネタから精神科ネタに飛ばすという荒技に再挑戦したいと思います...っていつものことか(^_^;;

hitorigoto-297a.jpg皆様、もうポケモン自己分析はやられましたか?私は、なんと「ピカチュウ」と王道を行ってしまいました。明るく友好的なムードメーカー、みんなの中心的存在、カリスマ性...ほんまか?という感じですが、まぁ悪くないですねぇ。
「よわった なかまの ピカチュウに でんきをながし ショックをあたえて げんきを わけることも ある。」
おいおい、これじゃ修正型電気けいれん療法(mECT)じゃんかwww No.132でちょっと触れましたが、mECTとは重症のうつ病や統合失調症などの治療で用いられる治療法です。名前の通り、元来は頭に100Vの電流を流すことによってけいれんを起こすとともに脳の活動に変化を及ぼし、急性期症状を改善させる、という一見恐ろしい治療でした。しかし現在は、手術室などで麻酔科医が管理し、全身麻酔下に筋弛緩薬を使うことで、けいれんも起こすことなく安全に高い治療効果を上げることができる治療法なのです。

hitorigoto-297b.jpgポケモンといえば、先週までのレックウザレイド、皆さん黒レックウザ取れました?私は連戦連敗、最終日のレイドアワーには次男、一時帰国中の長男と3人で参戦、計8戦=3人で都合24回バトルに挑んだのですが、誰も一度も会えず、写真の如く緑ばかり。一説には黒の出現確率5%とのことで、ほんまか??と思ったのですが、いざ計算してみると確率5%の事象が24回トライしても一度も起こらない確率は(1-0.05)^24=0.29とのことで、3割くらいはあることが判明。まぁ仕方ない、というか、ついてないですかねぇ。

hitorigoto-297c.jpgそして仮面ライダー。ついにジオウが完結し、01(ゼロワン)の時代に。われわれの世代はゼロワンといえばキカイダー。お間抜けなハカイダー部隊が大好きだったワタクシでございました。そしてジオウの最終回、タイトルはなんと「アポカリプス」です(このあとネタバレ注意です)。アポカリプスとは、黙示録と訳されます。地獄の黙示録、なんて映画がありましたね。ヨハネの黙示録など、聖書...すなわちユダヤ教やキリスト教で重要な概念あり、神が預言者に与えた言葉を記録したものを指します。そこにはこの世の終わり、最後の審判、神の国の到来、といった預言者的内容が書かれています(出典:goo国語辞典)。

hitorigoto-297d.jpgビルド同様、ジオウでも最終回はパラレルワールドが描かれ、さらに終末からの転生の物語で終わっているところが「アポカリプス」ということなのでしょう。ちなみにこのアポカリプス、モンストにも出てくるみたいで...。

精神科領域では、クラウス・コンラートという精神科医が統合失調症の体験症状成立過程を分析し、これを次の3段階に分けて記述しています。

1. トレマ(Trema, 戦慄)期:周囲からの圧力、切迫した緊張感が亢進する時期
2. アポフェニー(Apophänie)期:周囲の対象に異常な意味が与えられ、あるいは動機なき関連づけが行われるようになる
3. アポカリプス(Apokalyptik)期:異常に意味づけられたものが場に氾濫し、正常な論理的な意味関連系は全く失われてしまう

ここで出てきました、アポカリプス。統合失調症の発症期、なにかまわりの世界がこれまでと違って感じられる、不気味な緊張感、はりつめた感覚...これがトレマです。ザワザワっとくる、その「戦慄」ですね。それが進むと、アポフェニー期に入り、そのまわりの変化に「意味」が感じ取られるようになります。誰かが自分を狙っている...。
hitorigoto-297e.jpgそしてアポカリプス期ともなると、正常は異常な世界に飲み込まれてしまい、当人はその世界に圧倒されてしまいます。ムンクの「叫び」の主人公が体験しているのはこうした世界でしょうか。
治療・療養を考える上でも、こうした病気の発展、展開のあり方を知っておくことはとても大切なこととなります。アポカリプスよりアポフェニー、そしてトレマと少しでも早い段階で治療介入できるようにすること。危ない感覚を覚えたら早めにご受診いただくこと。それができるようになるにはわれわれ精神科医には何ができるのか。いろいろ考えさせられます。

では今日の一曲。フランツ・リストシリーズとして、有名な「愛の夢 第3番」にいたしましょう。YouTube上でもいろいろな演奏がありますが、やはりラ・カンパネラでもご紹介したフジコ・ヘミングの演奏が一味違うんですよね。ではまた。

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