横浜院長のひとりごと No.304 ドローン攻撃

hitorigoto-304a.jpg横浜院長の柏です。ハロウィン前夜、ドンキの店頭で長考に入ったワタクシ。目の前にあるピカ○ュウの着ぐるみを買うべきかどうか悩む悩む(^_^;。結局自粛していつものマント(自分だけ死神博士のつもり)。来年(土曜日みたいです)、黄色い格好してたらゴメンナサイです(^_^;。写真はノリのいい受付さん二人との記念撮影でした。
前回、発達障害の方のタイムスリップ現象のお話をしました。過去のつらい記憶が突然蘇り、今まさにその瞬間その場所でそれを体験している...つまりその時間にタイムスリップしているような感覚です。意味としては「フラッシュバック」とほぼ同じですが、よりその感覚をよく現している用語だと思います。
そのタイムスリップと関連が強いのが複雑性PTSDと呼ばれる状態ですが、そのお話をする前にまずPTSDについてお話しないといけませんね。300回以上ブログをかいていながらきちんと扱っていなかったようですので、ここで一度整理しておきましょう。
PTSD(post-traumatic stress disorder; 心的外傷後ストレス障害)とは、事件や事故などに巻き込まれて危うく死にそうになる、性的被害を受ける、目の前で人が亡くなるのを目撃するなどの強烈な体験ののち、そうした記憶が勝手に出てきて日常生活を侵襲する(フラッシュバック、悪夢など)、その記憶に関するもの(場所、人物など)を回避する、認知や気分がネガティブにふれる(その記憶に関する記憶が飛ぶ、失感情症など)、覚醒度と反応の変化(過覚醒、過度の警戒など)といった変化が持続的に起こるものをさします。アメリカでは、ベトナム戦争や湾岸戦争などでの退役軍人で多く見られ、研究も多くなされています。No.074でもふれましたが、戦争〜殺すか殺されるか〜というのは人間にとって極限状態であり、特殊な精神状態を生じます。ここでちょっと話がそれますが、先日久里浜医療センターの樋口院長からゲーム依存についてのお話を伺う機会がありました。そこでは、とくに注意すべきゲームとして、荒野行動やFortniteなどのバトルロワイヤル(バトロワ)系のものが挙げられていました。バトロワ系とは、複数ゲーマーが参加して最後の1人が残るまで殺し合いを行うというものです。パソコンの進歩でスーパーリアルな映像が高速処理され、高い緊張感とスリル、達成感からの快感、というドーパミン出まくり状態が依存を引き起こすようで、うちの次男坊も完全にマイクラ(マインクラフト)中毒だよねぇ...今も二階から怒声が∑( ̄[] ̄;)。これはパソコンの前でのこと、フェイクの世界と分かっているからこそなわけですが、実はこれと酷似した実際の戦争があるのです。それがドローン攻撃です。米軍では本国でモニターを見ながらドローンを操縦して「敵」を攻撃し、そのままスーパーで牛乳を買って帰る...そんな軍務があるようなのです(参考その1 その2)。健全な精神の持ち主であれば務まらない任務です。ありふれた日常の中で行われる攻撃行動。しかも、正当防衛でもなんでもない、こちらは完全に安全な場所にいての一方的な攻撃です。PTSDが多発するのは当然のことと思われます。しかし、ゲームも進化とともにリアルに近づき、いずれバトロワゲームからもPTSDが発生するのではないか...ドローンの操縦席とパソコンの前が同じになる世界...そんなことも考えてしまいます。
うーーん、書き始めた時に考えていたこととは全然違う方向に行ってしまいました(^_^;;。タイトルも替えてしまおう。PTSDはとても難しく、とても奥の深い疾患です。しばらく、PTSD談義を続けていきましょう(この先も脱線上等、でお願いします(^^;)。
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最近、また講演会で講師を務める機会が増えてきました。先週は徳島まで行ってきたので、ついでに大塚国際美術館に寄ってまいりました。写真は、米津玄師が紅白で歌ったシスティナホール、そしてムンクの「叫び」ですね。この美術館はバトロワゲームよろしく全部「陶板名画」という、まあフェイクなのですが、この規模でやられると圧倒されてしまいます。フェイクと思わず、この世界に入り込むのがポイントですね。これだけの実物大の名画が揃って鑑賞できることは、なかなかすごいことです。飛行機の都合で午前中のみの滞在でしたが、とても全部は見切れませんでした。
では今日の一曲。秋になるといつもブラームスをおかけしていると思うのですが、今年はどこから秋だったんだか季節がよくわからないですよね。例年より遅い当ブログの秋の風物詩、今年のブラームスは間奏曲作品117-2変ロ短調です。私は本当はルプーあたりのレガートな演奏が好きですが、貴重なルビンシュタインの映像がありましたのでこちらにしましょう。ベートーヴェンみたいなブラームスですが...これはこれで趣があるというものです。ではまた。

コメント(2)

柏先生がPTSDのかたの治療に心を砕かれているのは、東京の講演会で先生の講演を聴講させていただいて、とても心に残りました。いま、私も非力ですが、高知県の患者さんのため頑張って治療に取り組んでいます。
ブラームスの間奏曲、初めて聴きました。なんとも言えない曲の出だしから、いまの気持ちにとても沁みいってきて、私の老年がはじまった思いがしました。
いままでブラームスのピアノ曲といえば、そしてルービンシュタインの映像といえば、カプリッチョ第2番が大好きでよく聴いていました。これはメロディーが飛び跳ねてて青春の音楽みたいですが、柏先生のおかげで、これからは人生の間奏曲を大事に奏したいと思いました。
いつも素敵なコラムをありがとうございます。

音楽大好きさん
いつもコメントありがとうございます。
ブラームスの間奏曲Intermezzoはいいですよ!最晩年の作品116〜119のピアノ小曲集のうち、半分くらいが「間奏曲」と銘打たれています。どれも珠玉の名曲です。たしかに、老年になってこそ趣を楽しめる作品かもしれませんね。他の曲もぜひお聞きください。

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