横浜院長のひとりごと No.315 感覚過敏

hitorigoto-315.jpg横浜院長の柏です。ingressの合間にちんたらやっていたポケモンGOですが、気がついたら最終レベル40に。わお。
新型コロナウイルス、PCR検査が話題ですが、かつて毎日PCR装置を回していた者としてはなんだかなー、です。コロナウイルスはRNAウイルスなのでそのRNAを検出するわけですが、DNAの増幅と比べてRNAの増幅はなかなかやっかいなのです。といいますのは、体の中にはRNAを分解するRNaseという酵素がたんまりあるので、サンプルを適切に処理しないとすぐに分解してなくなってしまうのです。ということは、臨床検査のレベルでは偽陰性(本当は新型コロナ陽性なのに陰性となる)が結構出るのではないかと危惧されます。熱が出て検査を受けて、大丈夫ですよーと言われて仕事に行ってみんなに移してしまう...そんな事態が真面目に心配されます。PCR検査は現状重症例に限るべきです。韓国みたいに、ドライブスルーで手袋・防御服を交換せずどんどん検査するなどありえません(かえって感染広げるっつーの)。みんながいきなり病院に行って感染を広げてしまうと、どこの医者も看護師も2週間自宅待機になり、容易に医療崩壊が起こります。初期に見つけたところで特別な治療法があるわけではなく、栄養を十分とって十分休むしかないのです。厚労省の指針通り、熱や呼吸器症状があれば自宅で休み、4日以上続くなら相談センターに電話する。感染拡大を予防し、医療機関の機能を守るため(当院も同じで、発熱者・呼吸器症状のある方は来院せず電話にてご相談ください)皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

では発達障害の方に複雑性PTSDが起こりやすい要因、その2「知覚・感覚の違い(過敏性)」についてです。発達障害を抱える方は、ASD, ADHDいずれもそれぞれ世の中の見え方、捉え方が定型発達者と少し違うようです。どちらがいい、悪いではないのですが、トラウマとの関連でいうとどうも不利に働くように思えます。
ASDの場合、診断基準B-4にも「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触感に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)」とあります。よく言われるのが聴覚過敏。自閉症のお子さんでよく耳を塞ぐ方があります。私の外来にいらっしゃる青年〜成人のASDの方でも、耳栓をしたりヘッドホンをイヤーマフ代わりにつけたりして診察室に入られるかたもありますね。聴覚過敏のある方では、特定の音が大きく聞こえたり不快に聞こえたり、独特の聞こえ方があるようです。ほかにも、においにスーパー敏感だったり、やたら眩しさに弱かったり、どうも世の中の感じ方(感覚)に量的、質的な違いがあるようで、定型発達者と同じ環境で過ごしていても、消耗しやすい、疲れやすい様子です(疲れやすさについて→No.273)。PTSDの主要症状としてフラッシュバック・悪夢といっに、その視覚的情景、音、匂い、恐怖感などが「氷漬けの記憶」として蘇ってくるものですが、言い換えれば感覚(五感)と感情(恐怖感)が研ぎ澄まされたものとも言えるでしょう。そもそもその五感自体が敏感なASDの場合、同じ体験をしてもより強烈な印象が残り、より複雑性PTSDの素因になりやすいものと考えられます。恐怖感そのものの感じ方も強いと思われる方もあり、重ね重ね複雑性PTSDになりやすい素地が濃いものと感じます。
ではADHDの場合はどうでしょうか。ADHDについても、ASDとの併発ということが言われ、知覚過敏を有する方がいるのも確かです(私自身は、併発については慎重な立場...って前にも書きましたね)。ただ私は、ADHDの場合、ASDの知覚過敏とは違うメカニズム...「空間と時間の認識が異なること」が重要なポイントと考えています(ここは私の私見がかなり入ります。エビデンス乏しいのでご理解のうえお読みください)。ADHDにおける空間認識様式についてはNo.277, No.278でもお話しましたね。ADHDでは使えるメモリの容量が少なく、「懐中電灯で照らしているよう」ととある患者さんがおっしゃっていた通り、同じ世界を見ていても見える領域に限りがある(これは、眼科的な問題ではなく、「見えているのに見えていない」という脳レベルのお話)のです。ハマったところだけ見えて、あとは見落としてしまいがち。時間に関しても同じことが言えまして、ハマると一瞬、ハマらないと無限に長く感じてしまうみたいです。まぁ誰でもそれはあるわけでして、ゲームなら一瞬なのが、講義だと1時間が2時間に感じられたり...。しかしADHDの方の場合、これが10時間に感じられる...考えてみてください、10時間ツマラン講義耐えられます(^_^;;?彼らがこらえ性がなく見えるのは、ちゃんと理由があるのです。こうした特性のある方がつらい体験をした場合、どうなるでしょうか。まわりは見えず、目の前に繰り広げられることに視覚はじめ全感覚が集中。そしてそうした辛い体験は無限に長い時間として認識される...こうした特性は、ASDとは異なる意味で複雑性PTSDに直結しやすいものと考えます。
発達障害者はみなさん様々な特性を持っていますが、その多くが複雑性PTSDのリスクとなりうる...そんなことを考えさせられます。

では今日の一曲。バッハ作曲、管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067を、エマニュエル・パユのフルート、ベルリンバロックゾリステンの演奏でどうぞ。私のお気に入りは、6:37からの第2曲「ロンド」です。先日No.309では第3番の名曲「G線上のアリア」をご紹介しましたが、個人的にはこちらの第2番の方が好きですね。ではまた。

コメントする