横浜院長のひとりごと No.325 マスク談義

6月となり、気温がだんだん上がってまいりました。今年、日本人は史上初めて、猛暑の夏をマスク着用で過ごすこととなりそうです。みんなマスク焼けして、しかしずっとマスクしてたらわからないままなのかなぁ、とかアホなことばかり考える横浜院長の柏です。今日は精神科医からみたマスクについて書いてみましょう。

そもそも今回のことがあるまで、私はよほど体調が悪い時でないと診察室ではマスクをしないのがモットーでした(と書いて、最近「モットー」って言葉を聞かない気がすることに気がついた。私って古い人間?じゃあ「スローガン」...もっと古いか(^_^;)。精神科診療は来院される方とのこころの通じ合いが基本ですから、マスクでこちらの表情が隠れてしまうと「この医者、なに考えてるだろう?」と余計な心配を与えるのではないか、と思っていたわけです。逆に患者さんがマスクをされていることも、表情が読むことから症状や状態を把握し、次の一手につなげたい精神科医サイドからはやりにくいわけです。中にはNo.205でお話したようにマスクを防具に使われる方もありますので、その場合は診察を受けるために必要な道具として考えていきます。

今回、新型コロナウイルスのために当院では医師はマスク着用、患者さんにもマスク着用をお願いし、さらにアクリル板をはさんでの診療スタイルを取っています。精神科の常識で考えると精神科診療や精神療法からはほど遠いセッティングなのですが、意外と大丈夫なものだな...というのが最近の感想です。そしてこれは、日本人(や東洋人)がマスクを好み、西洋人がマスクを好まない理由と深く関係しているのではないか、と思われるのです。

ひとりごと325-1.png

アメリカン・ヒーローを見てみると、これらの写真のように皆さん目を「マスク」していますよね。正義の見方にせよ悪の使者にせよ、正体を隠すためにするのがマスクですが、西洋人はその際に「目」を隠すんですよね。

ひとりごと325-2.png


ではわが国ではどうか。忍者にはじまり、月光仮面(こやつは目も隠してるか...)、レインボーマンと皆隠しているのは「口」ですね。まあ、No.202でご紹介したマシンマンみたいに、メリケン野郎もいるっちゃいるんですが(笑)。


こうしたマスクの違いがどこからくるのか。ここには、洋の東西でのコミュニケーションのあり方の違いが関係しているのではないでしょうか。西洋のコミュニケーションは、まず言葉ありき。主張を述べ、debateできないと生き残っていけません。ラテン系の言語は子音、母音とも日本語より種類が多く、口の動きで伝える部分も大きいのです。よって、口を隠してしまうとコミュニケーションに支障をきたす度合いが日本人より高く、これも彼らが例えパンデミックでも、口を覆うマスクを好まない一つの理由と思われます。

日本では、「目は口ほどに物を言う」といい、空気を読み言語外のコミュニケーションを重んずるため、マスクで口が見えなくとも西洋のようにそれを不気味に感じることは少ないのでしょう。まあそれが、自閉スペクトラムの方にとってますます住みにくい環境としてしまっている点はあるでしょう。
新型コロナでは、マスク着用率が高い日本や東アジアでは感染者数、死亡者数がマスク着用率の低い欧米よりはるかに低いというのは、そうした文化的背景と重ねて考えるとなかなか興味深いところです(ほかに遺伝学的要因、既感染の可能性、BCGの関与、民度(笑)など仮説はいろいろありますが、どれもまだ仮説の域を出ておらず、より詳細な検証が求められます)。

話を戻して、お互いにマスクをつけての精神科面接。相手の顔の下半分が見えない分、相手の目を見て、口調・語調に耳を澄ませ、相手が醸し出すものを読み取る努力をより重ねるようになります。また、目は口ほどに物を言い。目(眼球)は脳からのダイレクトパス(視神経)であり、脳の直接の出先機関として脳の状態をよく表します。顔全体の表情に代わり、目をよく見ることで脳の状態を把握することはある程度可能なのです。コロナ禍を生きる精神科医として、お互いにマスクをつけていても診療の質を落とさないよう、ますます精進していく所存です。今後とも当院をよろしくお願いいたします。


それにしても、これからの季節のマスクはつらいですよね。おそらく気候の変化にあわせて、専門家会議からも適宜指針はアップデートされるでしょう。皆様も熱中症などにも十分お気をつけください。では今日の一曲。先ほど出てきたレインボーマンの主題歌「行けレインボーマン」です。番組タイトルは「愛の戦士レインボーマン」。愛の戦士ですよ、愛の戦士。


ひとりごと325-3.png


いつも悪役推しのワタクシ、悪の秘密結社「死ね死ね団」(ネーミングがすごすぎ。こちらのテーマもあるのですがさすがに自粛します)、その首領ミスターK(平田昭彦)がなかなかよかった。日本人の殲滅というすごい目的の結社で、ハイパーインフレを狙う、テロや誘発地震などで日本の国際的信用を落とそうとするとか、さすがはミスターK、一味違います。本放送は1972年、私は小学4年生。この年はほかに仮面ライダー(初代)、キカイダー、バロム1、アイアンキング、快傑ライオン丸に10-4・10-10と名作揃い。アニメだってデビルマン、ガッチャマン、マジンガーZに海のトリトンですよ。懐かしき、古き良き時代でございました。ではまた。


コメントする