横浜院長のひとりごと No.328 年金ビジネスの闇

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横浜院長の柏です。ゼロワン、最終章突入。ラスボス?アークゼロいい感じですね。異形の姿は魔進チェイサーを彷彿させますね。コロナで短縮となりましたが、充実したラストを期待したいところです。そういえばキラメイジャーは魔進戦隊なのだが、チェイサーと関係あったりして??


さて、最近ちょっと(温厚な?私にしては珍しく)頭にくる出来事があったので、今日はそれについて書くことにします。個人情報保護のため、内容は一部改変してあります。
長年、私の外来に通院中の発達障害の方。障害者手帳は取得していますが、手に職がある方です。いろいろ苦労しながらも健常者枠にてなんとか働き、単身アパート生活を送っています。ある日、障害年金を取得できないだろうかという話が出ました。彼が申請できるのは障害基礎年金で、これは2級までで3級がありません。しかし、彼の生活・就労実態からは2級の水準には達していない(手帳は3級)ものと評価されるため、希望があるなら診断書は書くが、あなたの状態では年金取得は難しいと思う、と伝えました。次の回、彼から手帳の診断書のコピーがほしいとの話がありました。理由を尋ねると、年金の件で相談した社会保険労務士(社労士)が持ってくるように言っているとのこと。そしてコピーを渡した次の回。彼は困った様子で診察室に来ました。聞くと、社労士が診断書を見て「これじゃだめだ、全部書き直さないといけない、今の医者をやめて○○医院にかかるように」とのたまったとのこと。さらには、来月一ヶ月仕事を休むように指示されたので、休みの希望を出した、と。なんでも、その社労士は発達障害専門でやっていて、90数%成功している、とHPで宣伝しているので相談したとか。うーん、なんですかねこれ。こっちは彼とはずっと向き合ってきて、特性について一緒に考え、二次障害もしっかり治療して、引きこもりだった彼をなんとか健常者と同じ土俵で働けるところまで持ってきたんです。それを数回会っただけの社労士に、年金を取るために医者変えろ、ってなんで言われなくちゃならんのですかね。休みを取れ、というのも、診断書の「現症時の就労状況」を不就労にするための偽装工作ですよね。これってどうなんですかね、県社労士会にでも聞いてみますかね。

○○医院はよく知りませんが、世の中には社労士が言うがまま診断書を作成する医師がいるのでしょう。私のところにも、時々年金取得のことで、と社労士からの手紙を持ってこられる方があります。見ると、ご丁寧に「日常生活能力の判定」や「日常生活能力の程度」についてご評価・点数化いただいたものが書いてあります。あーすみません、それ全部こっちの仕事なんで、書いてもらわなくても結構なんですけど。たいてい、大変重く(よりできない側に)書いてありまして、全く参考になりませんので。そこじゃなくて、職歴とか現症時の就労状況あたり(月収など)をきちんと聞いて書いてくださると助かるんだけど、そこ書いてくれる社労士が一人もいないのはどういうことなのかな。
彼の場合、今の収入でもなんとか生活はできており、常勤で働けていたときにはもっと収入があったことをふまえ、コンディションを整えてより安定した収入を自力で得られるようにすることを目標として、今回は年金申請せず、当院にて治療継続することで合意しました。もちろん、今後の状況によっては年金申請をするかも知れませんが、今はその時ではありません。また、今回の社労士は手付金3万円、成功報酬年金額3ヶ月分とのこと(遡及請求なし)。基本的に障害年金取得を考える人は、経済的問題があってやむなく請求する人が多いわけです。そういう人から、それだけの金額を「搾取」(あえてこう書きます)するのってどうなの?と思うわけです。せいぜい、完全成功報酬で1ヶ月分、が妥当なところじゃないですかね。こっちは苦労して、格安で診断書書いて...おっと愚痴になっちゃいますね...。もちろん、世の中には善意で障害者のために尽力する社労士もたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、少なくとも一部、こうした悪質な社労士が存在するのは厳然たる事実です。こういう輩が跋扈しない世の中にするために、年金請求はもっと簡便な形にしていただきたい。年金事務所や区役所で、係員がサポートしてワンストップで自力申請できるシステムにしていただきたい(最近、年金事務所も以前よりも手厚くサポートして下さっているようで感謝しております)。本当は、No.326でお話したようにベーシックインカムが一番いいんですけどね。
当院の場合、ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)が障害年金をはじめ福祉制度利用のためのお手伝いをいたします。書類の書き方、必要書類の集め方などきちんとご説明します。ソーシャルワーカーのご相談につきましては、お金は一円もいただいておりません。ご希望の際は、(社労士事務所に電話する前に!)お気軽に主治医までご相談ください。


では今日の一曲。新型コロナウイルスで苦しむ日本のオーケストラ。以前、都響の試みをご紹介しましたが、今日は新日本フィルハーモニー管弦楽団をご紹介します。NHKの番組でも紹介されましたが、楽団員がテレワーク、zoomでつながってのパプリカの演奏です。現在すべてのオーケストラが経営危機に際しています。私はサンディエゴに留学中、地元のサンディエゴ交響楽団が破産(bankruptcy)するという事態を経験しています(のちに復活)。ひいきのオケがなくなるのはつらいことです。ロックコンサートと違い、聴衆も静かに聴き入るクラシックのコンサートは、それなりの観客を入れたにしても、入場退場時も含めてマスク着用と静粛を求めることで感染予防は十分可能ではないでしょうか。専門的見地からの意見もふまえ、早く安全なコンサートの再開を可能にしていただきたいと切に願います。こちらの寄付も引き続きよろしくお願いいたします。ではまた。



コメント(2)

先生こんにちわ
こっちではお久しぶりですね。
ちょっと記事がアップされてから時間が経ってしまいましたが(^^;;

いつも優しい先生が怒るとなんだか怖そうですね。苦笑

年金ですか…私は発症当時人が怖すぎて手続きが後追いになってしまったため障害者年金は無理ですと一刀両断されたので制度の方ではあまり安心感は感じません。

わかりにくかったり制限で弾かれたり…自分は考えがやはり甘いところがあるのかもしれませんが制度がもっと簡易的に、またセーフティーネットを考えると線をもう少し多くして欲しいですね。

ソーシャルワーカーさんと無料で相談できるのは驚きました。

横浜ではないので少し違いがありそうですが知れてよかったです。

あと先日、診察室で久しぶりに笑えたは嬉しかったです。

いちご大福さん
コメントありがとうございます。
患者さんの前では、よほど教育的指導をしなくてはいけない時以外は一切怒りませんのでご安心のほど(^_^;;
年金に限らず、公的機関は相談する窓口の人によって対応がピンきりなことはよくあります。年金受給の可否も、その時は基準を満たしていなくてもその後満たすこともありえます。使える資源は使うべきですので、まずは(社労士ではなく)医師に遠慮なくご相談くださいね。
笑顔が一番。心からの笑顔がどこでも出ますように。

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