横浜院長のひとりごと No.329 コロナ随想

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横浜院長の柏です。「明日できることを今日やるな」を座右の銘に、まったり生きているワタクシですが、今ちょっと焦ってます(^_^;。精神科では国内で一番大きな学会、日本精神神経学会学術総会。今年は仙台で6月に行われる予定だったのですが、コロナで9月末に延期になりました。今年も岩波先生たちとADHDのシンポジウムを行うのですが、延期になったもんで座右の銘に従い(^_^;; 準備は9月になったらでいいねー、とのんびり構えていたところが、学会事務局から「今年は会場でやる予定だけど、コロナもあるんで動画配信とハイブリッドでやる、ついては7月中に発表を動画にして送るように」「本来6月だったんだから、文句ねえよなゴルア」みたいなメールが突然来たわけです( ゚д゚)ポカーン ・・・なわけで焦っておりまして...合間の気分転換でブログを書いております(T_T)。


今日は学会準備のストレスもあり(^_^;; 新型コロナウイルスについての日頃のモヤモヤをここにぶつけたろうと思います。日本は第1波については比較的うまく対応したと思うのですが、ここに来て第2波と呼んでいいのか?またぞろ感染者数が増えてきていますね。今後の感染制御、経済への影響の低減を考えると大切な局面と思われますが、今回はどうにも心許なさを感じてしまいます。


感染制御は完全に医学マターでして、感染症医学、疫学・公衆衛生学といった分野のエキスパートの仕事です。その意味ではわが国に尾身先生や西浦先生といった天才がいて、クラスター対策、三密回避、対人接触の8割制限といった先進的な施策のおかげで第1波を乗り切ることができました。しかし、当然ながら対人接触制限は社会活動を下げ、経済に大きな影響を及ぼします。そのため次いで経済マターが重要となり、専門家会議に経済の専門家が入るようになったわけです。本来、ここで感染制御のための新しい行動様式が国民経済にどの程度影響するかを正しく評価し、行動制限の適切なレベルを策定する、そのために呼ばれたのが経済の専門家だと思います。にもかかわらず、小林慶一郎氏の提言は「一日に何百万回たらPCRを行い、医療と社会の不安を取り除く」んだそうです。たしかに、日本はPCR検査の実施回数は海外と比して十分とは言えません。医師が必要と判断した時にいつでもできるだけの対応数は必要ですが、(抗体検査の結果からも)現在のような事前確率が低い時に全員PCRとかやってもなんの意味もありません。中国・韓国が現在成功しているのはPCR検査を行うだけではなく、人権を蹂躙するレベルの強力な監視システムを稼働したからであり、台湾は天才オードリー・タンの元、個人情報を中央管理せずに感染制御に役立てる天才的システムを構築したから、とそれぞれ理由があるのです。はっきり言ってIT後進国の日本ではできない芸当ですし、中国・韓国のように個人情報を国家に握らせることについて、わが国ではまだコンセンサスは得られておらず、こうしたやり方は現実的ではありません。欧米と同じ民主主義の道を行く日本としては、目指す道はコロナの撲滅ではなく、一定数に感染者をコントロールする共存の道しかないでしょう。感染症・疫学の専門家が対人接触制限レベルに応じた感染者、重症者数の予測を行い、医療ベッド・ホテル・ECMOの空き状況、経済への影響などを複合的に解析して適切な行動様式・対策を決めていくしかないのです。なので、経済の専門家はPCRガーではなく、オプティマルな経済予測を何卒よろしくお願いします。個人的意見としては、日本はこれまでの対策を基本にしつつ、その上でモデルにすべきはドイツだと思います。こちらのブログにもありますが、ドイツでは経済研究所と感染研究センターが共同研究を行い、最も経済損失が小さいのは実効再生産数(Rt)が0.75の時という結果を出しました。さすがメルケルの国です。わが国でも、経済の専門家に求められるのはこうした仕事だと思います。日本における最適なRtを予測し、そこにコントロールするように行動様式を決めていく。ワクチンができる保証はありません(私は悲観的です)。長期戦を戦うにはまず戦略ありき。経済の専門家の皆さん、頑張ってください。あと、専門家会議の上?に有識者会議とかいって山中先生とか黒川清先生とか大御所が並んでるですけど、むむむー。黒川先生は鉄門バトミントン部の顧問でお世話になったので頭上がりませんが、いかんせん腎臓の専門家でいらっしゃるので...。


それにしても今回のコロナは、指導者から評論家・ブロガーさんまで、その知性を測るよき試金石と(結果として)なっているなと感じます。ウイルスは科学的実体であり、正しい対処をしない限り増え続けます。自分に都合の悪いものをすべて「フェイクニュース」で切り捨てるトランプ大統領。コロナはフェイクになりませんでしたね、残念!わが国の総理も、この時分にGo To キャンペーンとか...アホですかほんま。日本中に首都圏のコロナ広めてどうするんですか...。旧態依然とした官僚体制も問題ですが、こんなことを平然とやろうとするのでは、知性の欠如を背景としたセンスのなさがバレバレです。その点、科学者でもあるメルケルは流石です。ドイツは感染者数は出てはいるものの、感染対策・経済対策とも原則に基づいた判断がなされているのがわかります。中長期的には、民主主義国家の中ではドイツが勝つでしょう。ぜひ参考にしていただきたいものですね。評論家では、例えばアゴラの所長さん。経済の専門家らしいっすけど、医学知識を中途半端にかじっては(一番やってはいけないパターンですね)「日本はBCGがあるから大丈夫」といってコロナは怖くない、経済を回せ、ばかり。そうではなくて、どれだけ制限したら経済のどこががどれだけまずくなるか、を解析するのが仕事でしょうよ。第1波の時でも都内病院は逼迫しかけたのが実態。あなたの言う通りにしていたら、西浦先生の予測通り患者は激増し、医療崩壊は免れないでしょう。そもそも指数関数について理解されていないようで、高校の数学からやり直す...いやその前に、そろそろ引退されてはいかがでしょうか。

すみません、いろいろ溜まってるもの吐き出しちゃいました。みなさんもストレスは適宜吐き出しながら、この長期戦を乗り切っていきましょうね(^_^)。
では今日の一曲。今年は長梅雨ですが、雨の日に聴きたいのはシベリウス。ヴァイオリン協奏曲を、ヒラリー・ハーンのヴァイオリン、ミッコ・フランク指揮のフランス放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏でどうぞ。4分30秒過ぎからのパッセージの官能性にしびれます。ではまた。


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