横浜院長のひとりごと No.330 Hayashiさんの新刊

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横浜院長の柏です。学会〆切直前で、しかも日曜〆切なのに土日でポケモンGOのイベントがあるという最悪のスケジュールのため、今週はブログをお休みしようと思っていたのですが、緊急告知のためお休み撤回となっております。


昨年、この時も学会前だったのですが、No.290にてHiroki Hayashiさんの著作「大規模ネットワークによる発達障害の解明: ADHDとASDは併発できない 上巻」をご紹介しました。前回も書きましたが、彼はADHDの当事者であり、そのために実生活では苦労が絶えないところなのですが、まったくの独学で、Google翻訳を駆使して(今の技術はすごいですよね)脳科学の論文を読み解き、発達障害に関する独自の理論を打ち立てています。近年の脳科学は局在論(前頭葉ガー、扁桃体ガー)を脱皮し、大規模ネットワークと呼ばれるネットワーク群の重要性が注目されてきています。彼はこの大規模ネットワークを切り口にADHD, ASDといった発達障害の脳メカニズムを論考しています。前回ご紹介したものが「上巻」だったのですが、その後も彼は勉強と執筆を続け、今回「大規模ネットワークによる発達障害の解明: ADHDとASDは併発できない 下巻」として結実しました。前回繰り広げられた各大規模ネットワークとADHD, ASDの関係についてさらに論考が進められ、臨床症状から診断をつける現在のDSM診断への建設的批判に至るまで充実した内容です。今回も出版前に監修をさせていただきました(Amazonの表記は2人とも著者となっていますが、これはAmazonの仕様でして実際は彼の単著で、私は監修役です)が、修正は今回も明らかに医学的におかしい点の指摘のみにとどめ、ほとんど彼の記述のままとしています。当然ながら専門的に見ると論が粗いところは多々見られますが、今後の皆さんの議論のたたき台になることを期待してのことです。今回も、リリースキャンペーンで7月23日から28日までの間、Kindleストアから無料でダウンロード可能です(ただし国際標準時ですのでご注意ください)。精神科診療に関わる皆さん、脳科学研究に携わる皆さんにぜひお読みいただき、忌憚ないご意見を聞ければとHayashiさんともども思っております。
われわれ定型発達者(オイラが本当にそうか、はおいといて(^_^;)に見えない景色が彼には見えている...このあたりは発達障害診療に関わる者の醍醐味であります。定型発達の治療者としては、当事者の皆さんの声、体験の積み重ねが治療を進める上ではまたとない宝物となります。診察室でのちょっとした会話、そこから砂金をすくい取って皆さんにお返ししていくのが発達障害の優れた治療者でしょう(発達障害に限った話ではありませんが)。日々是精進。Hayashiさんに負けず、私も頑張って...学会の動画はよ撮らんと(泣)。


今日の一曲は、私の愛するマイケル・クライトンのSF小説の映画化、ご存じジュラシック・パークのテーマです。そうです、Life finds a way.のアレです。作曲者のジョン・ウイリアムス自身が、なんとあのウィーン・フィルを指揮するという驚きの動画。楽友協会ホールと曲のギャップが...と思ったのですが意外としっくり来てたりして。ではまた。

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