横浜院長のひとりごと No.334 オンラインの世界

横浜院長の柏です。No.321でテレワークについて書いたのですが、最近私自身の仕事もかなりテレワーク的になってきたので、今日はそのあたりをまとめて書いてみることにします。もちろん、メイン業務であるクリニックでの診療は、これまで通り直にお会いしての面接のままです。マスクにアクリル板も皆さんとくに違和感もないようで、私もすっかりこのスタイルに慣れてしまいました。体調の悪い方、新型コロナウイルス感染への不安の強い方には電話診療も行っておりますが、声だけではなかなか難しいところもあります。オンライン診療も認可はされてきていますが、現在の扱いでは精神科専門療法の算定ができず、当院のような都心型クリニックでは現実的ではないのが現状です。
そんな中、サブの仕事や活動として行っている

・某企業の顧問医
・講演会の講師
・大学の講義
・学会活動、研究会活動
といったところが今年度はオンライン中心となっています。順に見ていき、私なりに感じていることをお話できればと思います。


まず、数年前から私は都内の某有名企業で顧問医として、職員のメンタルサポートのお手伝いをしています。私は産業医ではないので、あくまでも職員サポートを主としており、不調を感じる方との面接を同社オフィスにて毎月行っていました。しかし新型コロナ拡大に伴い、同社もテレワーク中心でオフィス出勤者を制限する流れとなり、私の面接や人事スタッフとのやりとりも現在はすべてオンライン上となっています。当院でも行っていないことであり当初はどうなるかと思いましたが、電話診療とは異なり顔を見ながら話せるのはやはり大きく、あまり違和感なくできております。とはいえやはり相手の環境によっては(わが家は「世界最速インターネット」かつMacBook Proですんで)タイムラグや解像度の問題などが生じることもありますし、それ以上に直接お会いすることで働くこちらの「勘」(というと言葉が悪いですが、本人から醸し出される様々なアウトプットを捉える感覚、といいますか...)が十分働いているのか、自信が持ちきれないところがつらいところです。


次は講演会の講師。私ももうベテランと呼ばれる年齢になっておりますので、いろいろなところから講演の依頼が参ります。地域福祉団体、NPOから製薬会社まで、あ、横浜市主催の発達障害者相談基礎研修ももうすぐですね(やべー、〆切今日だ。あ、これは市職員など福祉関係者対象です)。この市の研修は会場実施ですが、今年はほとんどの講演会がweb開催。聴衆が見えず、画面に向かって話すのはなかなかきついものです。機会を重ねるうちに大勢の前で話すのが快感になってきていたワタクシ(昨年の精神神経学会はメイン会場で大聴衆でした)としては調子がつかめません。これってもう開き直って自分で自分に酔うしかやりようがないな、と妙な納得の仕方をしております。


お次は大学の講義。毎年心理の大学院生相手に「精神医学演習」なるものを夏季集中講義でやっているのですが、今年は全面オンライン。そうでなくとも一日4コマ6時間の講義は学生さんの負担が大きかったのですが、一日オンラインではさすがに大変と考え、半分オンディマンド(録画配信)、半分リアルタイム講義とした(大学からは、今年度は自由にやってよいと)のですが、このオンディマンドの準備がなかなか大変。パワーポイントにナレーションをつけていくのですが、普段ですと講義は一発勝負。流れとノリで、細かい失敗など気にせずに前へ前へと進むものです。しかしパワーポイントですと一枚ごとに録音されますんで、修正が可能。まあ完璧な講義を目指すならこの方がいい、という考えもあるでしょうが、これがなかなか。一気にやってあとで気になるところを直せばいい、という考え方もありますが、あとから聞き直して修正していると時間がかかって大変。後述の学会発表はそれをやりましたが、複数回ある講義でいちいちやっていたら大変です。なので、録音しながらあーやばい、と思ったらすぐ止めて録音し直す、という流れになるのですが、こうなると流れが寸断されてしまい、講義の大きな流れにこちらが乗りにくいんですよね...。強迫性障害であったグレン・グールドはコンサートを好まず、スタジオ録音に集中。ベストのパッセージをつなぎ合わせて録音を完成させたと聞きますが、いやーえーかげんなワタクシには無理な芸当でございます。なわけで、来年はリアルタイムを増やそうかと思っています。リアルタイムは、学生さんたちの顔は小さく見えますが、皆さんミュートにしているのでしーんとしており、やはり教室での講義と比べると打って響く感触に乏しいんですよね。まあしかし、学生さんたち真面目で事後の質問タイムは盛況だったのが救いでした。


最後は学会活動・研究会活動です。成人発達障害系の学会活動を理事などの立場で行っていますが、定例の打ち合わせもwebに。いつもですと懇親の場で各地で活躍されている皆さんと語り合うのが楽しみですが、今年はそれができないのがつらいところです。精神神経学会は毎年6月、しかし今年は今月末に延期かつweb開催となりました。今年も岩波先生たちとADHDのシンポジウムを企画しましたが、演題はすでに動画として提出。当日のディスカッションどうなるのかいまいちわからず。うーんどうなるんだろ。もともとの予定では今年は仙台でして、講演会もそうですが地方に赴いて当地の美食をいただき、観光を楽しみ、旧友と旧交を温めたり学会で知り合った方々と語り合う、そういうお楽しみがないのはやはり物足りないですね。Web開催ですと自宅から出る必要なく、普段ですと裏番組で聞けないものもしっかり聞ける、よくわからなかったら繰り返し見られる(オンディマンドの場合)などメリットもありますが、やはり地方で生でやりたいな〜、という私はご老体なのかな...(^_^;;。


でもまあしかし、これからはこれらすべてがオンラインが標準の方向に変わっていくのが定めなのでしょう。5G時代になり解像度や通信品質が上がれば、診察室と同等の精神科面接も可能となるかも知れません。講義も講演も学会も、自宅で効率良く学べるのは望ましいことでしょう。5年後、10年後の世界がどうなっているか、その時人々のコミュニケーションはどういう形になっているのか。楽しみにその日を待ちましょう。


今日の一曲、ベートーヴェン・イヤーなので(ひつこい?)彼の作品を続けます。今回はエグモント序曲、9月1日に85歳の誕生日を迎え、ボストンではこの日がSEIJI OZAWA DAYに定められた小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ、24年前の演奏でどうぞ。ではまた。


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