こころの健康アラカルト

特定の動物や虫が怖い「恐怖症」

特定の動物に恐怖心を抱いてしまう人がいますが、行き過ぎると恐怖症かもしれません。
治療法の目安として、例えば、家へ帰る途中に苦手な犬がいるのでうかいしますが、その通りの別の家で犬を飼い始めたので、表に出られなくなった。また、苦手な虫がちょっとでも部屋に入って来ると頻繁に錯乱状態になるなど、日常生活に影響を及ぼすと治療の対象になります。虫が嫌いで一戸建てに住めないけれどマンションの高層階なら大丈夫という場合は治療の必要はありませんが、恐怖を克服できれば行動範囲が広がる可能性もあります。
では、過去の経験がトラウマになるのでしょうか。 そのようなケースもありますが、はっきり記憶していない方が多いです。小さい子どもが暗闇や小動物、時には着ぐるみなどを怖がるのも、発達段階に応じておこることなので心配はいらないでしょう。
治療法は、系統的脱感作療法を用います。恐怖を感じる状況を階層化して、がまんができるところから始め、恐怖がなくなるまでだんだん慣らしていきます。程度により薬物療法も併用し、克服できるようになってくれば薬物療法をなくします。気になる場合は相談を。

ハートクリニック院長 浅井逸郎