看護師便り

ペットと暮らすしあわせ──健康への効果と気をつけたいこと

ペットと一緒に過ごす時間は、私たちの心をほっと癒してくれます。犬や猫、小鳥やうさぎなど、動物たちとのふれあいにはたくさんのメリットがありますが、その一方で気をつけたいこともあります。今回は、ペットがもたらす健康へのよい影響と、知っておきたい感染症についてご紹介します。

ペットがもたらす健康効果
1. 心の安らぎとストレス軽減
ペットをなでたり見つめたりすることで、心を落ち着かせるホルモン(オキシトシンなど)が分泌されることがわかっています。ストレスが和らぎ、不安感や孤独感の軽減にもつながります。

2. 運動習慣のきっかけに
犬の散歩は、毎日の軽い運動になります。ペットと遊ぶことで自然と身体を動かす機会が増えるのも魅力です。

3. 社会的なつながりが生まれる
公園での散歩やペットイベントでは、飼い主同士の交流が生まれることもあります。特に高齢者にとっては、孤立を防ぐ一助にもなります。

注意したい感染症やトラブル
ペットとの生活で気をつけたいのは、「動物由来感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる、人にうつる可能性のある病気です。過度に心配する必要はありませんが、正しい知識と予防が大切です。

感染症名主な感染源(ペット)人の症状(主に起こるもの)
猫ひっかき病
(バルトネラ症)
猫(特に子猫)、ひっかき傷・かみ傷・ひっかかれた部位が赤く腫れる
・発熱
・リンパ節(首やわきなど)が腫れて痛む
トキソプラズマ症猫のふん(土や生肉からも)・ほとんど無症状なことが多いが、
・軽い発熱やだるさ
・妊婦が感染すると胎児に影響
(先天性トキソプラズマ症)
パスツレラ症犬や猫のかみ傷・なめられた傷口・傷口の腫れや化膿
・熱感や痛み
・重症化すると発熱、関節炎などの全身症状も
オウム病
(クラミジア症)
インコやオウムなどの鳥・風邪のような症状(発熱、咳、頭痛)
・重症化すると肺炎になることも
カプノサイトファーガ感染症犬や猫の口の中の菌(かみ傷やなめられた傷)・発熱、吐き気、全身の痛み
・重症化すると敗血症や意識障害
(高齢者や免疫力の弱い人で)

特に注意が必要な方
以下の方は、感染症へのリスクが高くなることがあるため、より慎重な対策が推奨されます。

  • 高齢者
  • 小さなお子さん(5歳未満)
  • 妊婦
  • 病気や治療により免疫力が低下している方

予防のポイント

  • 傷口はすぐに水と石けんで洗い、必要に応じて医療機関へ。
  • ペットの健康管理(ワクチン・定期健診)は大切です。
  • ふんやおしっこの片づけは手袋を使い、後で手をよく洗いましょう。

安心してペットと暮らすために

  • 定期的にペットの健康診断やワクチン接種を受けましょう。
  • トイレやケージ、食器などを清潔に保ちましょう。
  • ペットにさわった後や食事の前には、必ず手を洗いましょう。
  • 小さな子どもや高齢者、妊婦の方は、特に丁寧な衛生管理を心がけましょう。

最後に
ペットは私たちの心と体を支えてくれる大切な家族です。ちょっとした注意を払うことで、より安全で幸せな共生が実現できます。正しい知識をもって、ペットとの毎日をもっと楽しく、もっと健康にしていきましょう。

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