皮膚が乾燥し、いわゆるドライスキンになると外界からの刺激をブロックできないばかりか、最近の研究では真皮にある痒み(かゆみ)に関わる知覚神経がより表皮まで伸びてきてしまい痒みを感じやすくなることが明らかになりました。
掻きむしりや衣類などの刺激で、湿疹や小さな傷から細菌感染を起こしやすくなります。このようなトラブルを防止し、表皮を守るためにスキンケアが必要です。
皮膚トラブルの原因
「外側」からの原因
・紫外線 ・気温 ・乾燥 ・多湿 ・花粉 ・ほこり ・排泄物、細菌、虫さされ等、
物理的刺激(圧迫・摩擦・ずれ、外傷等)を受けやすくなります。
紫外線を始めとして、気温、寒暖差、湿度そしてエアコンなどで乾燥した空気さらには環境の汚染、化粧品によるトラブルなどが挙げられます。
「内側」からの原因
・偏食などによる栄養のアンバランス
その結果としての皮膚に不可欠なたんぱく質やビタミン類の欠乏です。
・仕事などのストレス・睡眠不足、疲労の蓄積などもよくありません。
また、体の中に入った有害なものを解毒する働きを持つ肝臓の具合が悪いと、肌あれや吹き出物などさまざまな皮膚トラブルの原因となり、胃腸の働きが弱くなると
栄養がうまく吸収されないので、皮膚の健康にもさまざまな影響を及ぼすようになります。もちろん、便秘も肌の大敵です。
バリア機能が低下することにより保湿機能も低下して外部刺激が入りやすくなります。皮膚に問題が起こった際に、「皮膚科を受診しよう」「何か塗り始めないと」と起きてから対処することが多くありませんか?
問題が起きる前から皮膚の健康を保ち冬の皮膚の乾燥、夏の紫外線によるトラブルから皮膚を守ることができます。そのために行うケアを「予防的スキンケア」といいます。
予防的スキンケアのポイント
- 皮膚を清潔に保つ
- 乾燥から皮膚を守る
- 刺激物から皮膚を守る
- 物理的刺激から皮膚を守る
- 紫外線から皮膚を守る
皮膚を守り正常な皮膚の状態に近づけて維持をすることが大切です。
1.皮膚を清潔に保つための洗浄
皮膚のバリア機能を保つための皮脂を除去しすぎてしまう(洗いすぎ)恐れがあり、乾燥の原因や皮膚への刺激物の浸透により痒みや炎症が生じます。そのため、皮膚を洗浄する際は、皮膚に低刺激である弱酸性のボディソープをよく泡立てその泡で汚れだけをやさしく除去します。タオルや垢すりなどでゴシゴシこすらない。お風呂の熱過ぎ、長過ぎは皮脂の落とし過ぎになります。
2.乾燥から皮膚を守るためのケア
水分が少なくなった角質の角質細胞間脂質(セラミド)を補充し角質細胞の隙間を埋めます。乳液、クリーム、ローションにより水分を補います。セラミドが含まれた製品はより効果的に保湿が可能になります。
- バリア機能:クリーム基剤、油脂性基剤のスキンケア用品
(※〇〇クリーム、〇〇軟膏と記載されていることが多い。ワセリン、スクワラン、〇〇油含有など成分表示に記載) - 保湿機能 :セラミド含有のスキンケア用品
(※〇〇ローション、〇〇ジェルクリームの記載が多い。セラミド配合や成分表示に記載されてる)
保湿をして終了ではありません。保湿後、角層の水分を維持するために保護が必要です。保湿後、油分が含まれたクリーム、ワセリンなどの軟膏を塗布することで水分の蒸発を防ぎます。その機能を維持するためには、適宜バリア機能、保湿機能を果たす成分を持つスキンケア用品によるケアをすることによりスキントラブルを起こしにくい状態にします(図1)。
推奨スキンケア用品
予防的スキンケアを目標とした洗浄・保湿と保護
●洗浄の目的
皮膚の洗浄は皮膚の清潔を保つため、皮膚の表面についた刺激物(油汚れ、皮脂、排泄物)を除去することが目的です。しかし、洗浄が皮膚に悪影響を及ぼすこともあります。が重要です。
●保湿と保護の目的
保湿と保護は皮膚を健康な状態にするために必要です。保湿と保護をすることにより角質の間の隙間を埋め外的刺激から予防します。
予防的スキンケアをする際は保湿・保護両方のケアを実施することが重要です。
スキンケアとは皮膚を清潔に保ち、乾燥、肌荒れを防ぐため、肌の手入れをすることを指し、清潔のスキンケア、乾燥のスキンケア、紫外線防御のスキンケアがある。
手入れには医薬品、化粧品などを用いるが、年齢、肌質に合わせてスキンケアをすることが大切である。スキンケアを適切に行うことにより、皮膚の老化を遅らせ、さまざまな皮膚トラブルを防ぐ。
清潔を保つ
清潔とは滅菌するということではなく、必要に応じて石鹸、シャンプーなどで洗浄する、入浴・シャワー浴するなどで汚れをとる、ということである。
入浴・シャワー浴のポイントは、皮脂を落とし過ぎないことである。熱過ぎ、長過ぎは皮脂の落とし過ぎになる。また、低刺激性石鹸・ボディソープを積極的に用いて、肌を保護する。乾燥肌の目立つ幼少児や高齢者では、保湿入浴剤などを用いて、乾燥肌の予防ケアも行う。ナイロンタオルやボディブラシは刺激が強いので使わない。
保湿する
保湿薬は好みや季節などに合わせ、患者の肌と相談しながら使用感の良いものを選ぶ。冬は油成分の多いものを、夏はさらっとした水成分の多いものを塗る(図1)。乾燥が強いときは1日に2~3回外用する。とくに入浴後15分以内は、角層が水分を含み皮膚表面からの吸収力が高まっているので、保湿に最適である。
図1 保湿薬選択のポイント
①乾燥期にはベタベタした、梅雨など湿度の高い時期にはさらさらしたタイプを外用する。
②患者に試し塗りさせて、塗り心地の良いものを選んでもらう。
③市販品でも肌に合えば、それを使用する。
④塗っても刺激感が出るなど肌に合わなければ、変更・中止する。

紫外線防御
長期にわたる紫外線曝露は光老化、また、皮膚がんのリスクを増やす。紫外線防御の対策には、以下の方法を組み合わせる。
・紫外線が強い春から秋の午前10時~午後2時頃は、できるだけ長時間屋外にいないように心がける。
・日焼け止めを活用する:SPF値とPA値が高ければ良いというわけではない。海水浴や屋外でスポーツをする場合にはSPF値やPA値の高いもの、日常生活であまり日に当たらない場合は低いもので良い。使用説明書の記載に従い、塗る量や回数を守る。顔に塗るときは、塗り残しがないように鏡でチェックする。汗や摩擦で落ちてしまうため、こまめな塗り直しが必要である。
・日陰で活動する:夏の砂浜、冬の雪などでは地面や水面から紫外線が反射し、日陰にいても日焼けをすることがあるので注意する。
・衣類は肌の露出が少ないものを選ぶ。
・UV ウェアを着る、日傘をさす、帽子をかぶる。
皮膚の保護機能

●乾燥した皮膚の特徴
乾燥した皮膚は保湿機能が減少し、乾燥し角層に隙間ができ炎症と自覚的な掻痒感、痛みが生じます<図3> 。そのような皮膚の特徴は外見的に皮膚の皮溝・皮丘がなくなり平坦になります。そのため、粘着テープを貼った際などには平坦部分の全体に粘着成分が付着し相乗効果で刺激が強く加わります。健康は皮膚とは皮膚の皮溝・皮丘が規則的であることから皮丘の部分に粘着テープなどが点で付着し刺激が分散します。(写真1:ドライスキン、写真2:健常皮膚)
<図3>


ドライスキンのケア
洗い方
入浴は36~40℃のお湯で、洗浄剤は弱酸性のものを選びましょう。ちなみに、赤ちゃん石鹸は皮脂の多い乳児用で、アルカリ性が強くドライスキンには向きません。洗浄剤を泡立てて手のひらや柔らかなタオルで洗いましょう。こびりついた便や、亜鉛華軟膏などは無理にこすらず、オリーブオイルなどを塗って汚れを浮かせてから洗い流しましょう。
保湿剤の選び方
毎日続けられることが大切ですので、患者さんと相談しましょう。安価なものや、保険適用がある白色ワセリン(プロペト)やヘパリン類似物質、尿素クリームがお勧めです。背中など広い部位にはローションや泡状製剤が塗りやすく、乾燥の強い四肢は油性クリームや軟膏が適しています。

塗るタイミング
活動しはじめる朝と就寝前に塗れると良いです。清拭後や入浴後は肌を露出しており塗りやすいでしょう。
塗る量
ステロイド外用薬の塗布量にFTU(フィンガーチユニット)という目安があります。成人の人差し指の第一関節までに軟膏やクリームを乗せた量(約0.5g)を1FTUとし、手のひら2つ分の広さに塗布するという考えですが、保湿剤はこれよりやや多めの1.5倍くらいが良いとされます。塗った直後、ティッシュが貼りつくくらいのべっとり感です。体幹や下肢に塗るとしたら結構な量が必要になり、やはり安価であることも大事ですね。
塗り方
ステロイド外用薬は塗布、擦り込まずに伸ばし、保湿剤は手のひらでやさしく、よくなじませます。
塗る向きは横方向
より効果を得るコツがあります。外用薬は縦方向ではなく、横方向に塗り伸ばします。皮溝という横方向に走行する細かい溝は表皮がもっとも薄くなっており真皮へと吸収させやすいからです。
※マッサージとは別に考えます
塗る回数
ステロイドなどの外用薬は用法を守りましょう。保湿剤は1日1回以上、回数が多い方が効果は高くなります。
水分補給や室内環境・爪の長さを整える
適切な水分摂取、加湿器の使用や、エアコンの風が体に直接当たらないようにするなど環境も調整しましょう。手足の爪が伸びすぎていませんか? かゆい時は無意識に足を使って掻きむしることがありますので、足の爪もやすりで整えましょう。

いかがでしたでしょうか。看護師が適切なスキンケアを理解し実践することで、患者さんの生活の質を大きく向上させることができるでしょう。



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