横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.187役割期待の不和(ずれ)

hitorigoto-187a.png横浜院長の柏です。こち亀が40周年で最終回を迎えるとか。40年といいますと私が中2の時からやっていたわけでして、感慨深いものがありますね。当時は少年チャンピオンに連載されていた山上たつひこの「がきデカ」が一大ブームでありまして、近所のI君の影響で私達もハマっておりました。そこに「山止たつひこ」なる二番煎じ作家がしょーもないお巡りマンガ(失礼(^_^;)を少年ジャンプに出してきたのです。それから40年、山止たつひこは本名の秋本治に改名し、がきデカなきあともこち亀はしぶとく生き残り、今日までのジャンプ繁栄の礎となったのです(そうは言っても、がきデカも26巻まで続いたのですが)。元・少年チャンピオン党としては複雑な思いでもあります。
本題です。今回、タイトルは「対人関係療法(その2)」として対人関係療法(IPT)を片付けちゃおうと思っていたのですが、書いてみたら一回じゃ終わらなかった(^_^;・・・ということで、前回のみ(その1)というダサいこととなってしまいました。これからしばらく、その2,その3と読み替えて下さいね。
さあ、IPTについての説明を続けましょう。前回お話しした通り、IPTでは「重要な他者」との「現在の」関係について扱いますが、その際に
①悲哀 ②役割期待の不和 ③役割の変化 ④対人関係の欠如 
という4つのテーマから1つを取り上げて扱っていきます。クリニックでは一般的に、この中では②と③の場合が多いのでこれらを先にお話ししましょう。
今日は、②役割期待の不和(ずれ)についてです。
人はそれぞれの考え方、信条に基づいて行動します。それは人によって異っていて当然なのですが、その人にとってより近い人、すなわちIPTでいうところの重要な他者になるほど、この人ならわかってくれるはずだ、私の思っている通りに行動してくれるはずだ、という無意識レベルでの期待を持ってしまうものです。まあしかし(たとえ親兄弟や配偶者であっても)他人である以上、思考や行動に違いが出るのは当たり前のことです。本来、人はそうした違いから自分の気持ちを伝え、話し合い、妥協点を見つけ(あるいはアウフヘーベンして)より深い関係性を養っていくわけです。こうした「対人関係の成長」はいつもうまくいくとは限りません。他人である以上、テレパシーの使えない我々人類としては「以心伝心」というわけには行きません。些細なずれが生じた時、ともすると相手に対して不安、悲しみ、怒りなどのネガティブな感情が生じ、それが不調につながることとなります。認知行動療法(CBT)では、No.181でもお話しした通り、ここでこうした感情が生じるもととなった考え方(認知)の掘り下げ、という方向で治療を進めますが、IPTでは相手との役割期待にずれがないかを検証する方向で治療は進みます。ともするとあいつが悪い、私が悪い、となるところを、相手に期待している役割は適切か?その期待は相手にきちんと伝わっているか?どういう役割なら相手は引き受けられるのか?相手が私に期待してる役割は私が考えている通りなのか?それを変えてもらうことは可能なのか?・・・こうした視点から関係性を見直してみる・・・その作業を治療者と協力して行っていく・・・それが役割期待の不和(ずれ)におけるIPTとなります。重要な他者ほど、些細なずれが大きな落とし穴になるというのは、皆さんにも心当たりのあるところではないでしょうか。
さて、前回のスクリャービン(練習曲作品2-1嬰ハ短調)に続いて今日の一曲はラフマニノフ、前奏曲作品3-2嬰ハ短調です。同じロシアの近代作曲家の若き日の作品(どちらも作品番号が若い!)、同じ嬰ハ短調、と比べてみるのも一興です。今日はキーシンのピアノでどうぞ。


(補注:IPTについての記載は水島広子先生の著作を参考にしています)

コメント

  1. パンダマン3世 より:

    私も先生とほぼ同年代ですので、「こち亀」の連載終了には少なからずショックを受けております。年内はしばらくは「両さんロス」にさいなまれることでしょう・・。破天荒、銭ゲバ、本能の赴くまま、超人的体力と行動力、反骨精神の固まりでありながらも、人情味にあふれ、困っている人を放っておけない優しさ。大原部長との丁々発止のやりとりが自分は好きです。元々は部長がやんちゃで問題児だった両さんを、その才能を見抜いて警察官にさせたわけで、強い信頼関係が見て取れます。先生の一番好きなキャラクターはどなたです?私は4年に一度登場する、日暮かな。一人に絞り切れないですが・・

  2. 横浜院長 より:

    パンダマン3世さん
    こんにちは。なかなか通ですねぇ・・・。私は、アンチジャンプ(笑)の都合上そこまで詳しくはないのですが、うーんやはり麗子さんでしょうか(^o^0/

  3. まねきねこ より:

    先生が「がきデカ」にはまっていたとは意外でした
    「がきデカ」はアニメ化もされましたがアニメにできるのだろうか?と思いました
    一回くらいアニメを見てみればよかったと思っています。

  4. 横浜院長 より:

    まねきねこさん
    お返事遅くなり申し訳ありません。
    小学生ですので、友達の影響が大きいですよね。クラスではやってましたし。
    アニメ・・・私も見てないんです。どんなだったのか、興味ありますよね。