横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.236 誇大妄想

横浜院長の柏です。なんとベイスターズが日本シリーズ出場というすごいことになっています。ちょっと相手が悪そうですが、ハマスタでは一矢を報いてほしいですね。しかし私はもと弱小南海ホークスファンでもあり、なかなか不思議な気分ですね。
統合失調症の妄想の話を続けましょう。前回、重要なテーマである「周囲の人との関係性」の障害として被害妄想、関係妄想の話をしました。うつ病であれ摂食障害であれ、精神科の病気の大きな部分を占めるのがこの「周囲の人との関係性」ですが、統合失調症では、この関係性が質的な変化をきたします。周囲との距離感にゆらぎを生じ、それが遠くなると「世界から隔離されている、自分のまわりに膜のようなものがある」と離人症状(自我障害)を呈しますが、逆に、世界がすべて自分とつながっているように感じると生じるのが誇大妄想です。
誇大妄想には、自分は天皇家の血統である(血統妄想)、神の声を民に伝える役目を負っている(預言者妄想)といったぶっとんだものから、もっと卑近なところでは、彼女は自分のことを好きに違いない、さっき彼女がこっちを向いたのは私にサインを送っているんだ(恋愛妄想)といったものまであります。
周囲との距離感のゆらぎは急性期に起こることもありますが、慢性期にはよりゆらぎが大きくなり、より荒唐無稽な色彩が強くなってしまいます。
さて、明日31日はハロウィンです。昨年は非番だったのですが、今年は診療日。懲りずにマントで登場予定ですので、乞うご期待(笑)。
今日の名曲、バッハのシャコンヌを前回ブゾーニ編曲のピアノ版でご紹介しましたが、今回はそのオリジナル(パルティータ第2番BWV1004からシャコンヌ)をハイフェッツのヴァイオリンでどうぞ。貴重なハイフェッツのカラー映像、やはり別格ですね。ではまた。

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