横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.275 多様性

新年早々、身近でインフルエンザ罹患者が出てリレンザの予防服薬を始めたところで(私がかかって皆さんにうつしてはいけませんので!)、今度は次男坊。昨夜から嘔吐下痢が続き、さっき点滴を開始した横浜院長の柏です。この季節、皆様も体調にはお気をつけくださいね。
新年第2回めのブログのテーマは「多様性」としました。ダイバーシティってやつですね。人間をはじめとする生物は、さまざまな形で多様性をもって存在しています。サルといってもニホンザルからロリスまで、バラ科といってもバラ、イチゴからアーモンドまで、仲間かどうか一見しただけではわからないものもあるわけです。人間でいえばまずは白色人種、黒色人種、黄色人種、そして黄色人種の中でも日本人、韓国人、中国人…。日本は日本人が大多数のほぼ単民族、きわめて均質性が高い国でしたが、それでも最近は外国人の割合が徐々に増えてきており、また会社なども積極的に外国人を採用するところも出てきていて、これからますます多様性が高まってくることが予想されます。
精神科の病気について考えてみると、その多くが多様性の一部、全体の分布の中での偏りとして捉えうるものであることに気づかされます。世の中には、とてもざっくばらんな人から神経質な人までいろいろな人がいますが、この神経質が行き過ぎると「強迫性障害」となります。清潔を気にして手を洗いすぎる、机の上のものがすべて決まった場所にないと落ち着かない、といったものですね。なお、統合失調症や双極性障害などでは、「正常」からの連続的な分布では説明し難い「質的な」変化を認めることがあり、それが「精神病」とよばれるものとなります。
そして、この多様性の最たるものが「発達障害」かと思われます。発達障害の代表として自閉スペクトラム症(ASD)がありますが、その名称(スペクトラム)が示すとおり、同じ自閉スペクトラム症という診断の方でも幼少からはっきりと自閉症の診断がついている方から、大人になったはじめて事例化して(困りごとが表面化して)来院される方まで、とても広い幅(スペクトラム)があります。さらには、年末にご紹介した本田秀夫先生の本にもありますが、発達障害ではない(定型発達)とされる方にも多かれ少なかれASDの要素はあり、そこは連続的につながっています。その間に明確に線を引くことは困難です。が、全体として見ると定型発達という多数派の種族の前に、ASDという少数派の種族(せいぜい数%)がいるという構図になります(これはADHD(注意欠如多動症)にしてもLD(学習障害)にしても同じことです)。
世の中は結局数が勝負を決めるようなところがありまして、多数派はとくに少数派を気にしなくても日常生活は普通に回るけど、少数派にしてみると自分たちのことに加えて多数派のことも意識しないと日常生活が回らないわけです。左利きの人は、改札を通るときには体をひねってスイカをタッチ。背がすごく高い、低い人は洋服を探すのも大変だったりしますよね。ASDの方も同じ。テレパシーでも使っているのか?という謎の力で周囲と意思を共有し(空気を読み)、安易に周囲に迎合し、お前自分がないだろう、としか見えない定型発達の方々の中で、自分をしっかり持ってやっている(こだわりを持ち、周囲に迎合せず自分の考えで行動する)のに、少数派だということだけでどんなに苦労していることでしょうか。
人間が、そして生物が多様性を有しているのは、種として生き残るためにその方が都合が良いからです。 現代の飽食の時代に糖尿病と呼ばれている方々は、氷河期などの飢餓状態ではむしろ生き残る確率が高い(血糖値を保つことができるため)と言われています。多様性を有していないと、氷河期や異常気象など種の存在に関わる事態に襲われた時に対処できず、滅亡の危機に瀕するおそれがあります(最近見たこのニュースはそれを大変わかりやすく説明しています)。
裸のサルである人類は、当初は弱い存在であり集団生活をすることで外敵から身を守り、また農耕社会の中で集団生活を確立したわけですが、万物の霊長となり、産業革命からさらにネット社会という新しいステージに移行した人類にとっては、もしかすると周囲に迎合せず自分のこだわりを強く出せる新人類(ニュータイプ)の出現が求められており、それがASDと呼ばれる人たちではないか。そんなことを思ったりもするわけです。今後も多様性が認められ、少数派も住みやすい社会になることを願って今日のお話を終わりたいと思います。
今日の一曲は特撮ものからです。子供の頃大好きだった宇宙猿人ゴリ(その後、宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン→スペクトルマンとタイトルが変遷)のエンディングテーマ。異星人の天才科学者ゴリのことを歌ったものですが、三番の歌詞に「自分の理想と目的持って、強く生きてるそのはずなのに」とあり、少数派の悲哀を感じてしまいましたので、今日はこの曲にいたします。おっと、ずっとサボっていたNo.201のクイズ(4)の答が歌詞に出てくるではないか(^_^; ではまた。

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