横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.038 知天命

横浜院長の柏です。私事ですが、本日2013年2月28日をもって天命を知る年齢となりました。不惑の時もそうでしたが、こうした区切りになると来し方行く末をいろいろ考えますね。不惑はまだ人生中盤という感覚ですが、知天命は明らかに後半戦です。次の十年をどう生きるか、これまで以上によく考えて過ごしたいものです。
ここまでの十年で、私は滋賀医科大学、東京医科歯科大学での足かけ11年半の大学病院での生活から、街中の診療所での生活へと大きく軸足を移しました。大学は外来・病棟・教育・研究と楽しく充実した毎日でしたが、不惑を過ぎ残りの人生を考えた時、本当に好きなのはその中では外来だということに思い至りました。私が研修医時代を過ごした四半世紀前の東大はまだ学園紛争(ご存じですか?)の名残が強く、病棟は反精神医学の方々に占拠され、私たちは外来とデイケアだけで研修をするというかなり特殊な状況にありました。このため、まだ医者になったばかりで外来主治医になるという、今では考えられない(許されない)状況で研修が行われました。病棟であれば、時間をかけて指導医とも相談して方針を決めることができます。しかし外来は、患者さんが入ってきてから出ていくまでの短時間で、一人ですべてを決定しなくてはなりません。妥協も後送りも許されない、最高に厳しい研修だったと思います。三つ子の魂百まで。こうした医師としての出発点が、私を外来中心の生活へと導いたように感じています。
診療所での生活は、密度が高く充実しています。好きな(と書くと失礼でしょうか)外来を一日中やれるのはとても幸せなことです。ただ、一日同じ場所にすわっている弊害もいろいろ出てきており、先日ブログにも書いたとおり、健康管理について改めて考えはじめたタイミングでの知天命到来でした。とにかく、この十年を大病なく過ごすことを最優先に今日も外来に向かいたいと思います。
心療内科・精神科では患者さんとのおつきあいは長期にわたることがあります。二十代のお若い頃から私が診ていて、大学から当院へと移ってこられたお嬢さんが不惑を迎えられたり、時の経つのは早いものです。たくさんの方々の人生を抱えていることを胸に刻み、まだまだ老け込まずに勉強を続けていきたいと思います。

コメント

  1. まねきねこ より:

    お誕生日、おめでとうございます。もし1964年だったら閏年なので、2月29日が誕生日なんてことも・・・まあ、いつもの妄想です。
     先生の医師としての出発点のお話を聞かせていただいて、とても感慨深いものを感じるとともに、より一層親しみを感じました。精神科を選んだきっかけや理由も、そのうち聞かせていただけたらと思います。以前、特撮の話の中で、一人の心は地球より重い(?)だったか宇宙より広い(?)だったかと言う言葉を引用されていらしたので、その言葉と関係があるような気がします。
     話変わってメタボのことですが、有酸素運動をする前に筋トレをすると効果がとても上がります。私はスクワットを10回くらいしてから歩いたりエアロバイクをこいだりしています。でも、先生が昼休みに歩く前、スクワット・・・スタッフの皆さん、笑わないでくださいね~。
     糖質ダイエットはしないと言っていた私もついに追い詰められ、ご飯を一口、減らしました。もともと私のお茶碗は子供用(2~3歳用!)これ以上、減らすのはあんまりと思いつつも、気持ち少なめに。ぽっこりおなかに家族は「産婦人科に行け」と言い出し、これは大変!四面楚歌!
     子供で思い出しましたが、先生、映画は息子さんと観に行ったんですね。親孝行な息子さんです。

  2. 横浜院長 より:

    まねきねこさん
    お祝いの言葉ありがとうございます。実は担当患者さんでいらっしゃるんですよね、2月29日生まれ。なかなか年をとらないのでうらやましいです?
    映画は、長男は友人と行ってしまったので次男と行きました。そのうち一人で・・・。うーん。
    最近ここで自己開示しすぎの気がしてますんで、次回からはまた病気シリーズに戻るつもりで、今のところはいます。今のところは、ですが。。

  3. ちょちょいのちょい より:

    祝・知天命に際し、コメントを寄せます。
    この数年、ご自身の体調とも懸命に向き合いながら、現場に立たれ外来患者を診てくださった先生に、患者の一人としてエールを送ります。感慨深いひとりごとでした。
    たまにはご自身のバックグランドも、本音も、どうぞおつぶやきくださいませ。大いに歓迎します。
    診療時間では、いつも申し訳ないと思いつつも、聞き取り役にさせてしまいます。しかし、先生が出されるキーワード、これがすごい!理解力の足りない私であっても、「なるほど、この状況をこう見るのか・・・。」と、効く。お薬には出来ない、先生の投球術。まるで風が吹くみたいです。でも、おまじないは度々切れるので、おさらいにいかせて頂くのです。
    数年後、私も無事に天命を知るお年頃になったら、一体どのような境地に辿り着くのでしょうね。不惑に続き、先生から「知天命斬り」を拝受するのでしょうか。楽しみです。
    心の治療は、短距離の結果よりも、長い観察から良い時も、悪い時もなぞって、徐々に回避できる知恵がつくみたいです。お見立が知識に、手段になるんですね。
    今になって思います。知らないってほんとうに怖いことだと。乗り越えれるものも、溺れてしまう。人一人は、まるで大海に浮かぶブイに過ぎないけど、散らばったブイの集合には意味があったりします。外見は経年しても、学ぶ気力はまだまだですね。
    先生、10年後のコメントも楽しみにしていますから。大病はしてはなりません。

  4. 横浜院長 より:

    ちょちょいのちょいさま
    暖かいエールをありがとうございます。じんときますね。
    そして、最後の6行には本当に大切なことが、きらきらと輝く言葉で書いてありますね。長い観察からいろいろなこと学んでいくこと。これこそ本来の治療であり、また人生そのものかも知れませんね。