こころの健康アラカルト

電車・バスに乗るとトイレが不安

「電車やバスに乗ったり授業に出ると「トイレに行きたくなるのでは」という強い恐怖を感じ、動悸がしたり汗が出たりします。」18歳男性からの相談です。
逃げ出せない場所にいると強い不安を感じ、激しい動悸や発汗がある・・・こうした症状は、典型的な空間恐怖を伴うパニック障害の可能性があります。
実は同様の不安で悩んでいる方は少なくありません。一度不安を感じると、電車やバスはトイレのある車両にしか乗ることができないため外出そのものを控えたり、授業や会議でもすぐ外に出ることができる後ろの席にしか座れないなど、普段の生活や仕事に支障が出ることもあります。
こうしたケースでは実際に尿意や便意を催すことが多くあります。まずは背景となる疾患がないか、専門科を受診することをおすすめします。その上で基礎的な疾患が無ければ、心理療法を行います。 治療は、不安のために避けてきた行動をあえて行うことで症状が出ないことを確認し、自信をつけていく行動療法(暴露反応妨害法と呼びます)と、抗不安薬や抗うつ薬などを処方する薬物療法を組み合わせたものが一般的です。
ご相談者はまだ若く、初めての発症だと考えられますので、十中八九、症状の改善がみられると思います。まずは専門科に相談されるとよいでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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