横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.257 赤と紫

横浜院長の柏です。先週は精神神経学会(精神科医にとって一番大きな国内学会)のため神戸に出張しておりました。今年も昭和大学の岩波先生たちと大人のADHDのシンポジウムを主催いたしましたが、去年より広い会場だったにも関わらず満員・立ち見の出る盛況で、巷の精神科医の大人の発達障害への関心の高さが伺われました。今年は、当事者団体NPO法人DDAC(発達障害を持つ大人の会)を主催されている広野ゆいさんにもご登壇いただきました。発達障害が大好き、発達障害が趣味だとおっしゃる広野さんですが、今日に至るまでには多くの苦労があったということを赤裸々に語られていました。当日広野さんから小冊子「発達凸凹活用マニュアル」をいただきましたが、なかなかスグレモノです。上記リンクからダウンロードできますので、ぜひ御覧ください。「大人の発達障害生活ガイドブック」も一緒にダウンロードできますよ。
発達障害には主にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障害)の3つが知られています。LDは、とくに大人の場合LD単独で受診にいたることはあまりありません。当院では主に大人の発達障害の診療にあたっておりますが、かつてはASDの方が多かったのが、最近ADHDの方も増えてきているのが実情です(薬物療法の成人解禁もあるのでしょう)。ここで難しいのが、ASDとADHDの合併(併発)の問題です。われわれは、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSMを診断に用いますが、以前のDSM-IVではASDとADHDの合併を認めていなかったものが、5年前から使われている新しいDSM-5(この版から算用数字に)ではこれが認められることとなりました。小児領域ではとくに、これら2つ(LDも加えて3つ)の併発は日常的とされているようで、現実に即した改定として歓迎されているようです。たしかに、成人であっても診断基準の項目を当てはめていくとASD, ADHDの両方の基準を満たす方は一部いらっしゃいます。それでも小児よりも合併が少ない理由は、ADHDは脳の発達の遅れとも考えられており(小さい子供、とくに男の子ではおっちょこちょいで落ち着きがないのは普通、ですよね)、成人になるまでに目立たなくなるから小児より少ない、ということも一因かも知れません。が、私にはどうしてもASDとADHDはそもそも成り立ちが異なっており、一見併発に見えるものは、例えばASD特性も強くなると一見ADHD様の行動パターンに見える、逆もまたしかり、ではないかと思えるのです。
hitorigoto-257.jpg虹の七色、青の先には紫があり、赤に近くなってくる…橙の先には赤があり、紫に近くなってくる…そんな連想が浮かんでは消え…この点は学会でも議論になっていたところですが、なかなか難しい問題であり、私の中でもまだきちんと形にはなっておりません。日々患者さんに向かう中で考え、教えてもらい、考えをまとめていきたいと思っています。
さて、毎週楽しみにしていた日曜ドラマ・ブラックペアンが終わってしまいました(鬱)。実はあまり普段医学ドラマは見てないワタクシですが(最近見たのはエグゼイドくらいかなー(^_^;)、今回は途中からでしたがちょっとハマりましたね。最終回もなかなか良かった。「医者は患者のことだけを考えろ。救え。ただ人を救え。」佐伯教授のこの言葉は、私もこれからも胸に刻んでおきたい言葉でした。メインテーマを今日の一曲にしましょう。ではまた。次回は生活臨床の話に戻る…はずです。

コメント

  1. ultima より:

    柏先生 お疲れさまです。今夜の金ローは私が映画館デビューしたStar Warsでした。今日は出て来なかったけど ヨーダが怖くてドキドキしたのを今でも はっきり覚えています。両親の影響で洋画が好きで、淀川長治さんにも水野晴郎さんにも大変お世話になりました。振り返ると英語を学びたいと思ったのは ここが原点かもしれません。ところで 虹の七色、本当に不思議です。ニュートンでしたっけ?うろ覚えですが…確かに存在するのに とても曖昧で、私もこんな感じなのかな と悩みます。水彩で描くとキレイに描けるんですが一発勝負 フリーハンドの虹は私のスクリーンには出て来なそうです。映画みたいに大団円を迎えられると良いのにな…

  2. 横浜院長 より:

    ultima様
    こんにちは。「ウルティマ」昔パソコンゲームではまりましたね。懐かしいです。
    スターウォーズ、第1作テレビでやってましたね。BD全集持ってるのについつい見てしまいました。群馬からはるばる上京して見ましたね。こちらも懐かしいです。