こころの健康アラカルト

実際に存在しないものが見える・・・

「息子が、はげていないのにはげていると思い込んで困っています。」こういった悩みで、ご家族が通院されるケースがあります。
何の問題もなく日常生活を送っているサラリーマンや、社会適応ができている人が、ある日鏡を見たら「ないもの」が見え始める・・・。そんなときは、腫瘍(しゅよう)など脳の病気も考えられますが、検査で特に異常が認められない場合には「幻覚」の可能性があり、統合失調症などが疑われます。
統合失調症とは、「幻覚」や「妄想」のほか、引きこもりや放心状態のように見えますが、意欲が減退して感情が平板化したり、気力がなくなり考えが乏しくなります。放っておくと人格荒廃につながることもある怖い病気なので、気になるときは早めに専門医に相談し、適切な治療を心がけることが重要です。
治療法は、投薬で「幻覚」や「妄想」を抑制していきます。同時に生活態度を改め、規則正しい生活を送るよう指導します。統合失調症は、症状が落ち着いたと思って服薬をやめると再発の恐れがあります。自分で判断せずに、専門医に相談しながら、長きにわたって病気と上手に付き合っていくことが大切です。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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