こころの健康アラカルト

妻を亡くし強い喪失感

「近所夫婦の奥様が病気で亡くなり、残されたご主人(40代)が最近とても痩せて、元気がなくなり心配です。どのように心のケアをすればよいでしょうか。」こんな相談がありました。
妻を亡くしたことによる喪失反応だと考えられます。ショックで元気がなくなるのは当然でしょう。愛情が深ければ深いほど、その傾向は強くなります。
四十九日を過ぎても、回復しないようであれば、少々注意が必要です。 元気がなく、体重減、眠れない、出社する気力がないなどの症状があれば、早目の手当てが求められます。そうしないとうつ病発症の可能性が高まります。 長年連れ添ったパートナーを亡くし、その喪失感から、うつ病を患うケースは実際に多いのです。
うつ病は、気分が落ち込んだり、行動意欲が失われたりする気分障害の一種。決して特殊な病気ではなく、日本人の15人に1人は、一年に一度はかかる可能性があり、特に女性がかかりやすいと言われています。ただし、放置しておくと病状が進行し、自殺に至ることもあります。
ですので、あまりにも喪失反応が長い期間見られるようであれば、近所の住民として、勇気をもって専門医への受診を促すようにすべきです。 本人が、体調不良を訴えてくるまで何も手を差し伸べないというのは、ナンセンスです。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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