横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.096 「発達障害の検査」はありません

横浜院長の柏です。GW本番ですね。「五月病」という言葉があります通り、この時期は心地よい季節である反面、調子を崩しやすい時期でもあります。ここはひとつ元気の出る音楽といきましょうか。私が元気のない時に景気づけで聴くのは・・・リヒャルト・ワーグナーです。タンホイザーワルキューレなど景気づけによい曲はたくさんありますが、今日はマイスタージンガー(第1幕への前奏曲)にしましょう。母校の入学式でも毎年演奏される名曲です。
ワーグナーといえば壮大な楽劇、自己愛性・演技性が多分に伺える強烈な個性がその音楽にも強く反映されています。そうした個性はヒトラーにも愛され、ナチスの前でフルトヴェングラーが演奏した貴重な映像もあります。ここでは、私が最も好きなカラヤンの演奏にしましょう。ようこそ、耽溺の世界へ(^_^)


さて、摂食障害の連載中でしたが、今日は予定を変えてタイトルのお話をします。ここのところ私の新患枠は、「発達障害の診断をつけてほしい」というご依頼で埋まってしまう状況となっています。その中で最近とくに増えているのが、「発達障害の検査をしてほしい」というご依頼です。どうも、何か心理検査をすると発達障害かどうかバシッとわかる、と思われている方が多いように感じているのですが、そうではありませんよ!!
発達障害は、いろいろな角度から総合的に検討を重ね、最終的にはDSM-IV-TRの診断基準に従って診断を行います。心理検査としてWAIS-IIIを行う場合もありますが、それはあくまでも診断の参考のひとつとして行うに過ぎません。WAIS-IIIよりも、幼少期の情報の方がずっと大切です。発達障害は本来、子どもの頃にその特性が明らかとなるものです。周産期の情報、小さい頃どんな子どもだったか、小中学校での様子はどうだったか、こうした情報が一番大切なのです。お母様なり、幼少期の実際の様子を知っている方に一緒にご来院いただくこと、母子手帳や通知表、幼稚園のころの記録などをお持ちいただくこと。こうしたことを是非お願いしたいと思います。現在の困りごとについても、ご本人には問題点がきちんとつかめていない場合も多く(余談ですが、自らが自らを理解できないことはすでにゲーデルによって証明されております)、それに気づかれているご家族、友人、職場の方々にもご来院いただけますとよりスムーズです。
発達障害は、DSM-5では自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになり、普通(いわゆる定型発達)の人から典型的な自閉症の方までが、連続的に分布しているという考え方となっています。となると、この色の薄い方(自閉度の低い方)については診断がなかなか難しく、慎重な検討が必要となります。診断がつくまでしばらく通っていただき、多面的検討を重ねる必要がある場合もあることをご了解いただきたいと思います。成人発達障害専門外来を設けている烏山病院でも、来院者のうち発達障害の診断に至る方は約半数とのことです。当院の場合、支援機関からの紹介が多いこともあって診断のつく割合はより高いですが、それでも統合失調症、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害など発達障害以外の診断に至る方も少なくありません。
さらには、こうした状況から当院のWAIS-III予約枠は現在数ヶ月先まですべて埋まっているのが現状です。当院としてはグレーゾーンの方の診断のためにこの枠を優先的に使いたいと考えており、臨床診断のみで発達障害診断の明らかな方、逆に明らかに否定される方、発達障害が疑われても他の精神障害の治療が優先される方の場合にはWAIS-III施行はお断りさせていただくこともあります。また、お急ぎの場合には検査が行える他の心理機関をご紹介させていただくこともありますので、以上ご了解のうえ受診いただきたいと存じます。
これは日頃ご紹介いただいている自治体や福祉関係機関の方々にもお願いしたいところでありまして、ご紹介いただく際にはぜひ、「発達障害の検査を受けてきて下さい」ではなく「発達障害に関して診療を受けてきて下さい」という形でご案内いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
では皆様素敵な連休を。当院は通常通り(祝日は5時まで)診療しておりますのでご活用下さい。

コメント

  1. 風神雷神 より:

    神々しい、思わず背筋がピッと伸びて誇らしい気分になるような、心地よく緊張する素晴らしい曲だと思います。
    今日は毎日忙しい自分へのご褒美のつもりでこの曲を聴きました。
    どうもありがとうございます。次回も楽しみにしております。
    で、このような素晴らしい曲を流す先生の母校ってどこなんですか?(東大ではなくて)知りたいです。

  2. 横浜院長 より:

    風神雷神さん
    ええと、この曲かけるのはその東大でございます。大学オケの生演奏です。野球ついに72連敗ですが(泣)。

  3. まねきねこ より:

    先生、若いころとはいえ、15個はすごいですねえ。私は小さいサイズで5個が限界でした。
     アナ雪、とうとう観ました!字幕版です。大ヒットも納得の、良い映画でした。うちもブルグ13です。ブルグができてからは、いつもブルグです。横浜の人は大体ブルグに集まりやすい(ただし、鶴見に住んでいたころはチネチッタでしたから、鶴見の人は川崎に出るかも)ですね。駅に近いし、関内周辺に散らばっていた昔ながらの映画館がなくなってしまいましたから。私はあの、懐かしさ漂う古めかしい映画館が好きだったんですけどね~。

  4. mos-mos より:

    めざましより早起きしたので、朝イチに聴いています。
    昨日は今ひとつ調子が悪かったのですが、今日はとっても爽やかな気分で1日を過ごせそうです。
    アナと雪の女王の、主題歌25カ国versionがYouTubeにupされ、♪ありのーままのー の所は日本語~松たか子~が起用されたとか。
    実はまだ観ていないのですが、近々観にいきたいと思いました。
    でも「相棒」も観たいので、久々に映画館に通い詰めになりそうです。

  5. 横浜院長 より:

    まねきねこさん
    15個ではありません。16個です(^o^) 今東大で准教授やってるFくんが15個食べたので無理矢理・・・もうアホかと。
    私は吹き替えをムービルで、字幕をブルクで見ました。ブルクは綺麗でいいのですが、スクリーンはムービルの方が大きくていいですね。わが家は109シネマズの会員なので新高島で見ることが多いです。会員になるとエグゼクティブシートが追加料金なしで使えたり、6回見ると(家族で2回行くと)1回タダだし、大変お得です。

  6. パパゲーナ より:

    院長先生、お久しぶりでございます。
    先生の音楽セレクト、いつもいつもステキですネ。
    カラヤンの指揮も、神々しく、誇り高きゲルマン民族の象徴と礼賛されるのももっともと、
    タメ息が出ます⋆′◡ु͐‵⋆♥。。。
    ワタクシが柏先生のご紹介で、湯島の病院に入院加療中、病棟のデイルームに、ヘッドホンとCDラジカセがありまして(院長先生は覚えていらっしゃいますか?)こちらを拝借し、消灯の一時間ほど前に“ワルキューレの騎行”をかなりのボリュームでかけた時、不運にもヘッドホンのジャックが抜かれており、静寂な病棟に勇壮なストリングスとトロンボーンの導入部が轟き渡り!!
    “何事!?”とワタクシも本当に驚きましたが、詰所に居らしたナースとドクターも気色ばんで飛んでいらっしゃいました =͟͟͞͞( •̀д•́))͞ =͟͟͞͞( •̀ ͞ =͟͟͞͞( •̀͞ =͟͟͞͞( •̀д•́)))͞
    ナースに”くれぐれもお気をつけ下さいね!!ε٩(๑> ₃ <)۶з”とお厳しく叱りを受けたのも、懐かしい思い出です。

  7. 横浜院長 より:

    mos-mosさん
    パパゲーナさん
    こんにちは。やっぱワーグナーを聴くなら朝でしょう。朝イチ、すばらしいですね。
    夜中にワルキューレなど聴くものではありません。寝れなくなるがね・・・。
    私が当直だったら、かけつけてお目玉でしたヨヽ(`Д´)ノウガー!!

  8. パパゲーナ より:

    そうですね〜f^_^;)
    場所柄と、時間帯を鑑みますと“ワルキューレの騎行”の選曲は最悪中の最悪でした(~_~;)
    あの、厳格な病棟でもう一度同じヘマをしていたら、翌朝、医長から強制退院を申し付けられていたかもしれません。冗談ではなく(。-_-。)
    この 失態がきっかけで、フイッシャーディースカウの“永遠のリーべ”、S子女史と音楽についての対話に花を咲かせることになったのでございます♪
    共通の趣味•嗜好を持つ方とデイルームで過ごす時間は、私の心に忘れていた躍動感を思い出させてくれました。
    今はどうされていらっしゃるか。。その後のS子女史のお幸せを、お祈りするばかりです。

  9. パパゲーナ より:

    親戚が前橋に渦巻くワタクシは、院長先生の群馬弁に敏感に反応(ू•‧̫•ू⑅)
    Dr.Kasiwa『眠れなくなるがね』
    ババゲーナ『そうなんさネ!!』
    と、言ったところでしょうか (^_^)♪
    グンマー万歳!!