デイケア便り

家族のこころ(第2回)

皆さん、こんにちは。池沢です。
天候も不安定ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
7月からご家族向けの記事を書き始めましたが、掲載後にコメントをいただいたり、クリニックのスタッフからも「読みましたよ」と言われたり、大変嬉しかったです。
さて、「今回は何を書こうか」色々と考えていたのですが、前回はご挨拶代わりに、家族を支援することについて考えていることを話させて頂きましたが、その考えを元にして実際どのようなことを行っているのか、ということについて書いてみよう思います。
私が行っている家族支援を大きく分けると2通りあります。1つは年10回行っている家族教室、もう1つは時間を設けて行う個別相談です。
この2つの具体的なお話しは次回以降とさせて頂くとして、2つの家族支援を行う上で私自身大切にしていることをお話ししたいと思います。それは「まずは安心して何でも語って大丈夫」ということ、そして「家族に治療者としての役割を取らせてはいけない(家族は家族としての役割を持つことが大切)」と言う点です。
 まず、今回は1つ目の「安心して何でも語って大丈夫」ということについて考えてみたいと思います。家族教室や個別の相談でもよく聞かれることですが、「話すことが出来て良かった」「話せる場所があるということはいいことですね」「誰に話していいか分からなかった」「誰にも相談出来なかった」などの言葉です。そもそも家族の方が話をする場所は以外に少ないのかな(もしくはない)と言うことを感じたりします。
 確かに考えてみると、近所の人には何か相談出来ない(ご近所の目がある)し・・・身内に相談しても、「あんたが(親が)しっかりしないから・・・」など言われてしまうかもしれないし、友人に話しても、友人だって「そんな話されても・・・」と思われるかもしれないし・・・と言う感じかもしれません。また、専門機関に話してみても・・・「治療のためには家族が・・・」「本人の考えや意志を尊重して下さい・・・」など”家族がどう対応していくか””本人の治療のために家族がすべきこと”などの話は出来るかもしれません。どう思われるかは別として、話をする場所はあるじゃないかと思われる方もいるのではないかと思いますが、私がここで言いたい”話をする”というのは、「本人の対応を考えるための話」ではなく、「家族の”家族としての”思い」です。
 昔、私も家族の「思い」に焦点を当てて話を聞くという感覚は正直あまり持っておらず、家族の話を聞いて、「家族がどう対応するのが(本人にとって)望ましいのか」をずっと考えていたと思います。それが家族支援だと思っていました。もちろん望ましい対応を話し合うことを否定するわけではありませんし、実際は対応をご家族と話し合うことは行っています。しかし、”家族の思い”に焦点を当てるかどうかで、同じ対応についての話し合いも全然違ったものになってくるのではと思っています。何故そこまで”家族の思い”にこだわるかと言うと・・・というところで続きは次回に。

コメント

  1. ミント 家族の本音 より:

    横浜に通院している者の家族です。
    酷かった病状も現在 お陰さまで回復過程です。
    幸い わたしは先生とお話しする機会に恵まれ 励まして頂いたり 聴いて頂く時間に恵まれました。
    本人の治療はお医者様に任せ 家族が本人を支援する ということが実践できたらすばらしいですね!患者さんはほとんどの時間を家庭で過ごすわけですから。
    家族が元気になれば 本人も元気になる。
    わかってはいるのですが どうしても家族(わたしは母親です)も一緒に落ち込んでしまうし(わたしは鬱状態になりました)対処の仕方がわからなかったり。
    とても疲弊してしまい 常に不安とともにあります。
    けど、本人も親が元気であることを望んでいます。
    家族が病気そのものを理解しようとすることも大切なことだと思います。
    けど 素人なので 本を読んでも無理があり 読んだ本によっては 寧ろ間違った理解をしてしまったり。そんな時期もありました。
    お友達とは縁を切ってしまう時期もありました。
    大切な子供が「心の病になった」ということだけでも 親は衝撃を受けます。
    有り難い視点だと感じ、心強い書き込みだと思い 拝見しております。

  2. 池沢 より:

    ミントさま
    コメント頂き、誠にありがとうございます。ミントさまのコメントを読ませて頂いて、やはりご家族のおかれている状況の大変さを感じました。それと同時に「家族が元気になれば、本人も元気になる」という言葉・・・まさに私もその通りと思いました。もちろん簡単なことではありませんし、道のりは時に長くなることもあるとは思いますが、そのような中でも少しでも「ご家族が元気になるにはどうしたらいのか」を考えてきました。そして、それと同時に家族教室(今後そのことも書いていきますが)などでご家族の話を伺っていると、逆に私が元気になるという体験も多くしました。
    今後もご家族に元気を少しでも与えられて、私もご家族から元気をもらう・・・そんな関係を多くのご家族の方々と築いていきたいと思います。
    今後もどうぞ、よろしくお願いいたします。

  3. ミント より:

    お会いしたことはないですが こちらこそよろしくお願いいたします。
    心の病は長くなりがちで 光が見えない時期もあり 家族も大変です。
    身体の病であれば 人にもわかってもらえるのですが 周りの理解を得るのもむずかしいんです。家族も孤独です。
    なんとなく家族の気持ちが楽になって 希望を持ってもいいのかな。と思える場所、自分を許せて家族も安心できる場があると 患者さんに元気を還元できるのかな。と思います。
    患者さんのご家族からも元気をもらっていらっしゃるとのこと 素敵なことですよね。