横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.121 近くて遠い国

アンニョンハセヨ。横浜院長の柏です。先週は、日頃いろいろと関わらせていただいている根岸のK2インターナショナルの皆さんと韓国を訪れ、彼の地での若者支援の実態を見聞する機会に恵まれました。若者支援ですが、当院は街中という特性もあり、比較的若い方が多く来院されます。とくに10代から20代で、社会に出る前、あるいは出る段階で躓かれた方の場合、自立のためには医療だけでは不十分で、周到な社会的支援が必要なのです。
hitori121-a.jpg今回韓国では、3日間で若者支援組織であるハジャセンター・青年ハブの見学、ソウル市主催の国際社会的経済フォーラム(GSEF)にての日韓若者支援セッションへの参加、若者支援に関わっている精神科医キム・ヒョンス医師との対談、日韓ニート支援者ネットワークの会への出席、K2 Korea訪問と盛りだくさんの内容でした。
ハジャセンター(こちらに動画あり)は正式名をソウル市青少年職業体験センターといい、創意教育として中に芸術系の5つの学校を持ち、職業体験から社会的企業の創業までの包括的な若者支援を行っています。ここから、(株)錬金術師なるすごい名前の青少年人材育成事業、ヤングシェフなる料理人育成プロジェクトなどの社会的企業が巣立っています。
青年ハブも同様の組織で、若者が仲間と出会い、学び未来を作り出す場を提供しています。
GSEFでは湘南・横浜若者サポートステーション(上記K2が母体でもあります)の岩本真実さんからサポステでの支援の実態の報告、韓国からは上述の錬金術師の方から韓国における若者の実態、同社の試みについてのお話がありディスカッションが行われました。
次にお会いしたキム・ヒョンス医師は精神科医ですが、成長学校「星」なる無認可校の運営に携わっておられ、そこで不適応生徒の教育、治療を一体的に行う試みをされています。「環境治療」なる考え方が根底にあるようでした。アスペルガー症候群はこの学校でも多いようでした。なぜか「アスポゴ」と呼ばれているようです。
全体としての感想ですが、ハジャやハブのような先進的試みはあるものの、日本の方がまだ先を行っていると感じました。ここには、経済の状況のみならず、韓国の年功序列的考え方(若者は下に来る)、労働を卑しいものとする伝統的考え方なども背景にあるようでした。また、キム医師のような方もいらっしゃる一方、ハジャやハブなどではまだ、発達障害や精神障害への十分な介入はなされていないように見えました。病気といえば身体の病気、という考え方がまだまだ根強いようです。ソウルでは新法により25歳までの青少年の支援が手厚くなることが期待されているようですが、日本では国家施策の若者サポートステーションが39歳までと幅を持って支援を行っています。民間や公共の若者支援機関でも、密に医療的連携をはかっているK2インターナショナルをはじめ、多くの機関から医療面での協力を求められることが本当に多くなりました。今後さらに支援と医療がタッグを組んでいくことで、若者達の未来をより明るいものにすることができる、日本はそうした土壌が育ってきている、そんなことを再認識できた韓国での3日間でした。
hitori121-b.jpgしかし韓国。私自身は5年ぶり2度目ですが、今回もソウルの街はハングル一色。漢字も英語表記もほとんどないので、素養のない私にはさっぱりわかりません。一人じゃとても来られませんね。中国なら漢字で、フランスなど英語以外の欧州でも何となく表記から雰囲気でわかるものですが、ハングルはタイ語やアラビア語と同じでまるで解読不能です。帰国後に横浜の街を気にしながら歩いてみると、こちらも日本語だけの表記も多いですね。でもソウルよりは英語表記は多いです(当院の看板にも英語が。ホッ。)。また、漢字表記は中国圏の方にはある程度読める、というメリットもありますよね。
近くて遠い国・・・言葉だけでこんなに強い印象を受けてしまうものですね。でも韓国料理は美味しかったです。ご案内いただいたK2 Koreaの皆様、カムサハムニダ!
では今日の一曲。せっかくですから韓国ものにしましょうね。私は韓流ファンではありませんが、唯一ハマったのがあのヨン様の「太王四神記」です。東方神起の歌うエンディングテーマ「千年恋歌」をどうぞ。かつてカラオケでよく・・・うおっと。偶然ですが、2回連続で久石譲作品になりましたね。

コメント

  1. 隊長 より:

    アニョハセヨ ピョルミョンヌン 隊長イムニダ チャイプタカムニダ
    韓国の実情、興味深く拝読しました。
    デイケアでは、このようなデイケア活動は世界的に日本と韓国だけ、という話も聞いたことがあります。
    しかし、両国とも精神の患者への理解はまだまだなんだなと思いました。
    中高年も就職支援してくれ~い。
    ソウルはトランジットでしか滞在してないので、ハングル文字勉強してカルビ食べに行きたいです。
    では、アンニョンヒー

  2. まねきねこ より:

    「太王四神記」懐かしいです。韓国ドラマに興味がなかったうちの父がはまっていました。男の人を惹きつける魅力があったのでしょうかね。父は今「奇皇后」にはまっています。ダイナミックなアクションや展開が面白いです。一度は行ってみたかった韓国・ソウルですが国の間でちょっと雲行きが悪くなってしまったので残念です。ああ~韓流ブームの時に行っておくべきでした。ハングルは最初テレビの講座で勉強して読めるようになりました。母音と子音を組み合わせてある文字なんですよね。駅や空港などで見かけると解読しています。速くは読めませんが。ただ、読めても意味が分からなかったりします。
     仮面ライダードライブは刑事もの仕立てになっているところも好きです。大人向きの刑事ドラマは人が殺されるので見ない(エンタティーメントとして殺人を扱うのが嫌い)のですが、仮面ライダーは人命を重んじているので安心して推理や謎解きを楽しめます。推理物って殺人じゃなくてはいけないとは思わないのですがね。たとえば国宝を盗むとかでもいいんじゃないかと。あ、それはルパン3世ですね。

  3. 横浜院長 より:

    隊長さん
    >>このようなデイケア活動は世界的に日本と韓国だけ
    そうなんですか?知りませんでした。
    まねきねこさん
    太王四神記ははまりましたね。 
    かみさんもはまってましたから、男性だけでもないようです。
    国宝を盗む・・・今のわが家的には、ルパン3世よりまじっく快斗ですねぇ。