横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.377 ハビリテーション

横浜院長の柏です。今年最後のエントリーです。タイトルを見て、あれっ、「リ」が抜けてるよ〜またタイプミスしてるなぁ、と思われた方もあるかも知れませんが、これは間違いではありません。今日は発達障害者の「ハビリテーション」についてがテーマです(まだ書いてないよね?最近何を書いて何を書いてないかわからなくなりつつある。検索では出てこないので大丈夫?かな?)。
精神障害者の場合、「リハビリテーション」が大事ですよね。これは精神科に限らずどんな病気でもそうでして、骨折して固定したあとはリハビリ。脳出血や脳梗塞の急性期から回復したあとはリハビリ病院へ転院となります。精神障害者では、統合失調症は急性期を過ぎ、消耗期を経て回復期の時期にデイケア、作業所などで精神科リハビリテーションが行われます。うつ病では休職を経て、会社復帰に向けてリワークプログラムなどがリハビリの一環として行われます。リハビリテーションrehabilitationとはre – habilitationでして、habilitationの語源はラテン語のhabilitat(可能にする)。英語のability(能力、可能なこと)と語源を共にします。つまり、ハビリテーションは「可能にすること」、リハビリテーションは「再び可能にすること」です。
リハビリテーションは一度失われた機能を回復することですが、発達障害者の場合はどうでしょうか。発達障害は、生まれつき、すなわち持って生まれた特性です。発達障害者がその困りごとを克服することは、失った能力を回復することではなく、新たに能力を獲得するということです。決して「欠陥」ではなく、得意と不得意の凸凹のパターンが定型発達者とはちょっと異なるので、多数派である定型発達者の世界でうまく生きていくために、いろいろと工夫が必要なわけです。発達特性を抱えた方の多くは、自分で試行錯誤、工夫を重ねるうちにやり方を身につけて行きますが、そこがなかなかうまく行かない一部の方が相談機関を訪れることになります。「適応障害」すなわち状況にうまく合わせられず、不安抑うつその他症状が強くなってくれば治療が必要となりますが、注意が必要なのが「過剰適応」ですね。無理をしてまわり(定型発達者)に合わせ続ける。これは、可能であってもエネルギーの消費が激しい(ガソリン食いまくってる)ので、あるところでダウンする危険があります。何事も、無理は禁物ですよね。
このように、自分で工夫したり、支援者の協力、専門家の心理教育などにより、定型発達者の世界で行きていくための無理のない方法を身に着けていくこと、これが発達障害者の「ハビリテーション」です。考えてみれば、私もアメリカに留学したときはあちらの環境になじむまでいろいろ試行錯誤、ハビリテーションをやっていたんだなと思いますね。言葉の壁に苦しみつつもなんとかあちらの生活をエンジョイできたのは、留学ガイドを読んだり、ボスや先輩にいろいろ教わったりすることで日本との違いについて情報を得たからだと思います。当時(1995年)はインターネット黎明期で、パソコン通信Nifty-Serveを通じての先輩留学生のアドバイスもありがたかったですね。今やインターネットで世界中から情報を容易に得ることができます。とりあえず思いつくところを書いてみますので、ご参考になさってください。
公的機関
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html
発達障害情報・支援センター http://www.rehab.go.jp/ddis/
発達障害教育推進センター http://cpedd.nise.go.jp/
横浜市発達障害者支援センターhttps://www.yamabikonosato.jp/SupportCenter.html
支援団体
NPO法人DDAC(発達障害を持つ大人の会) http://www.adhd-west.net/
NPO法人えじそんくらぶ https://e-club.jp/
株式会社Kaien https://www.kaien-lab.com/
LITALICO発達ナビ https://h-navi.jp/
パンフレットなどもいろいろダウンロードできますので、ぜひご活用下さい。当ブログも、右上の検索欄からいろいろ単語を入れてみていただくとこれまでのアーカイブがご覧いただけますので、ぜひお試し下さい。
今年最後の今日の一曲は「ケサラ」にしましょう。もともとはイタリアのカンツォーネから生まれ、ホセ・フェリシアーノにより有名になった曲です。


日本では岩谷時子の訳詞で越路吹雪が歌ったものが有名なようですが、個人的には大学時代に歌っていた、にしむらよしあきによる訳詞が思い出深い曲です。学生運動時代の政治信条をこめた訳詞ですが、ノンポリ時代に学生時代を送った私にも心に響く歌でした。有名歌手による録音はなく、甲府北中の合唱祭でのものを見つけました。こちらでお聴き下さい。

リハビリテーションのことは「リハビリ」といいますが、ハビリテーションは「ハビリ」…流行らせなくては(笑)。では、来年が皆さんにとってよりよき一年でありますように。

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