こころの健康アラカルト

事故を目撃してショック

「交通事故を目の前で目撃してしまい、なかなかそのことを忘れることができません」20歳・女性からの相談です。
ご相談者は、1カ月前、大学からの帰宅途中に自転車に乗ったお年寄りが交差点に進入し、自動車にはねられる瞬間を目撃してしまいました。その後、新聞でそのお年寄りが亡くなったことを知り、大きなショックを受けたそうです。 それ以来、眠ろうとすると事故の瞬間の記憶が蘇ってなかなか眠れず、身体のだるさや頭痛も続いているそうです。また事故のあった交差点を通ることが苦痛で遠回りして帰ることも多く、早く事故を忘れたいと言います。
災害や事件、事故などに遭遇すると誰しも大きなショックを受けます。時間が経てばそうした状態は和らいでいくことが普通ですが、ご相談者の場合、事故の瞬間を思い出すフラッシュバックや、不眠などの状態が1カ月も続いていることから心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があると思われます。
PTSDの場合、EMDRと呼ばれる眼球運動を用いた治療やカウンセリング、投薬により改善を目指します。しかし程度やほかの心の病気の有無などによってもアプローチが変わります。自己判断で対応すると、症状がかえって悪化する場合もありますので、精神科や心療内科などで専門家にご相談下さい。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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