横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.178 カサンドラ症候群

横浜院長の柏です。新年度もなかなか忙しく、更新が滞っております。まずは愚痴から(こうやって、愚痴はためずに出してしまうことが大切ですよ)始めますよ。ご通院中の方はご存じでしょうが、クリニックは予約管理をwindowsパソコンで行っております。書類もそこで作るので、純粋培養マカー(マックファン)の私も渋々windowsを使っております。今朝もいつも通り立ち上げて、またいつものように10にアップデートしろしろ言うのを拒否して(システム管理者からまだするなと言われていたのです)1番の方の診察を開始し、予約を取ろうとパソコンを振り向いたら、なんと勝手にアップデートを始めているではありませんか(怒)。ちょっと待ってよー。なんでこっちの了承もなく(アップデートをあとで、とか出ていたのか?そんなんまで見てないわい)やるかね。10で動かない特別なソフトとか使ってる人はどうするの?そしてまたチンタラアプデで1時間半ほどパソコン使えず、予約は受付でやってもらう有様。これもっと実害を受けてる会社もあるんじゃないの?・・・だからwindowは嫌いなのです!!!マックだったら、そもそもしつこくアプデ聞いてこないし、アプデの際も管理者権限の確認でパスワードを入れないとできません。いやーありえんな−、改めて一生マカーでいようと心に決めました。
さて、ちょっと間が空いちゃいましたが、5月1日日曜日に成人発達障害(自閉スペクトラム症)についての講演会で講師を務めましたので、今日は簡単にご報告します。神奈川新聞(カナロコ)でもご紹介いただきました。
今回の会の主催はこちらの団体でして、発達障害のパートナーを持つ方々のセルフヘルプグループ(自助グループ)です。ご通院いただいている方を通じて知り合うこととなりました。カサンドラ愛情剥奪症候群、略してカサンドラ症候群と呼ばれる状態があります。我々の世代でカサンドラというとカサンドラ・クロスという映画を思い出しますが、もとはギリシャ神話から来ているようですね。これは正式の医学用語ではありませんが、発達障害のパートナーを持つ方に起こりうる心身の問題を指したものです。不安、抑うつ、イライラをはじめ、アレキシサイミア(失感情症、自分がどういう感情を抱いているのかわからなくなる状態)、PTSD関連症状などを示すことが知られています。発達障害の方は世の中の見方、捉え方が発達障害でない方(定型発達とも呼ばれます)とは異なっています。そのため、定型発達のパートナーが求める価値観の共有、こころのふれあいが難しい場合があります。こうした「異文化コミュニケーション」の問題が続いていくと、徐々に心が折れ、心身の不調を来す場合がある・・・それがカサンドラ症候群です。
今回の講演は、こうしたカサンドラ状態にある方々を対象に、成人発達障害とはどういうものであるか、彼ら(彼女ら)がどのように世界を見ているのかということを医師の立場からご説明し、基本的な対処について私が考えていることをお話しさせていただきました。成人発達障害の方々を多数診察させていただく中で、ご夫婦やパートナー同伴で来院される方(一方が当事者、あるいは当事者同士ということもあります)も多数いらっしゃいます。当事者の方々は、幼少からずっとその特性を抱えているわけですが、ご自分の特性がどういうものであるか、まわりの人は世の中をどう見ているのかについてとくに教育を受けていないのが現状です(それ以外の方=定型発達を辿った方々は、とくに教育を受けなくとも自然と身につけることができるわけです)。診察は日常生活を振り返りながらこうした点を拾い上げていくことになりますが、理想はこの作業を日常においてパートナーが行うことなのです。そこがうまく回ると、本人も楽になりますしパートナーも楽になってきます。win-winの関係ですね。こうした、「翻訳者」としてのパートナーの役回りについて重点をおいてお話しさせていただきました。
今日の一曲のコーナー。シンセサイザーの大家、冨田勲先生が逝去されました。彼の音楽は、ジャングル大帝、マイティジャックなど、私が子どもの頃、夢を大きく膨らませてくれました。今日は遺跡シリーズ(遺跡でもないか)の続きとして、彼の手による新日本紀行のテーマソングにしましょう。

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