横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.251 アンビバレンツ

hitorigoto-251a.jpg横浜院長の柏です。ポプテピピック、サザエさんやポケモン並の長寿番組になるかと思っていたのですが、あっさり12話で終わってしまいました(泣)…さすがクソアニメ。


hitorigoto-251b.jpgちょっと前になりますが先週末、出張で長崎に行ってまいりました。人生初長崎。平和公園、原爆資料館と回りました。写真は、被爆した浦上天主堂の遺構。日本でも有数のキリスト教文化が根ざした街に、キリスト教国の戦闘機が原爆を落としたという事実は歴史の皮肉としかいいようがありません。資料館ではいろいろ考えさせられます。日本人はこういうところに時々訪れた方がいいですね。わが家も、子供たちと沖縄ではひめゆりの塔など回りましたが、今度広島でも連れて行かないとな、と思った次第です。原爆投下候補地、1回目、2回目とも横浜の名が挙がっていたことも我々は肝に念じておかなくてはなりません。
さて、統合失調症・ブロイラーの4つのA、最後に残ったのは両価性Ambivalenzです。アンビバレント、とは日本語でも使いますね。両価性=両方の価値を持つ、ということで、ある対象に対して、たとえば「好き」と「嫌い」というような相反する(矛盾する)感情を同時に抱くことを指しています。もちろん、誰であっても彼女のこういうところが好きだけどこういうところは嫌い、ということは普通にあるわけですが、ここでいう両価性はちょっと質が違います。ある人の同じところを見ていて、好きと嫌い、YesとNo、などの矛盾する判断が同時に起きてくるのです(人に対してだけではなく、あらゆる思考で起こりうることです)。なかなかイメージしにくいところではありますが、これもほかのAと同じく、「自我障害」が引き起こす事態です。物事を好きとか嫌いとか判断するのはその人の自我なわけですが、その自我が弱ってくるとそうした判断をする力そのものが落ちてしまい、判断自体ができない=好きでもあり嫌いでもある…という葛藤状況に陥ります。人間は葛藤状況を抱えることによって成長もするのですが、これはなかなかつらいことでありまして、とくに好きかつ嫌い、みたいな極端な葛藤を抱えることは困難です。それでもエネルギーが十分にあれば葛藤を乗り越える(アウフヘーベンする…どこかのスカタン知事が意味もわからず使っていましたねぇ)ことも可能でしょうが、統合失調症で心的エネルギーが消耗している時にはそれは望み難いことです。こうした葛藤、矛盾を抱えきれなくなると、彼らの心的エネルギーは固定化する(緊張病性混迷:固まってしまう)か拡散する(緊張病性興奮:暴れてしまう)といった極端なゆらぎを呈することになります。固まる、暴れるといった一見了解困難な行動の裏には、こうした特徴的な病理が隠れているわけですね。
なかなかブログの筆が進まないことで、皆さんから励ましの言葉をいただいております。ありがとうございます。今日の一曲は、Fさんのリクエスト、ケテルビー「ペルシャの市場にて」です。小学校(中学?)の音楽の授業でやりましたよねー。エキゾチックな名曲ですね。1分10秒過ぎからの甘美なメロディーが秀逸です。朝比奈隆/大阪フィルの演奏でどうぞ。ではまた。

コメント

  1. 藤岡京子 より:

    柏先生、ありがとうございますm(__)m
    実はコメント欄に投稿するのは初めてなので緊張しております。最近テレビで『ペルシャの市場にて』を聞いてとても懐かしかったのでリクエストしてしまいました。音楽は不思議ですね。聞いていると中学生の私、景色、風の音など色々思い出されて、そんな時もあったなぁと‥‥ この前の『春よこい』は夫の転勤で違う場所に移り住み不安だった頃を思い出し涙がでました。ユーミンも良いけど英語バージョンも素敵でした♪
    先生とは8年くらいのお付き合いでしょうか? 最近止まっていた時間がやっと動きだしたように感じます。これからもよろしくお願いします。そしてお体大事にしてください。

  2. 横浜院長 より:

    Fさんこと藤岡さん
    コメントありがとうございます。そうですね、音楽は聞いていた当時の様々な記憶とともにありますよね。私はこの曲はたしか小学校高学年だったと記憶しています。懐かしい記憶が出てくることも、また嫌な記憶が出てくることもあるでしょうが、おっしゃる通り「そんな時もあったなぁ」と捉えられるといいですよね。

  3. 横浜院長 より:

    追伸
    ほかの方々も、診察室でのリクエストも受けつけていまーす。
    あ、「闘魂こめて」や「六甲おろし」は却下です(^_^;