横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.262 サマータイムなど

横浜院長の柏です。お盆休み明けの方も多いのではないでしょうか。当院はとくに夏季休業はなく、医師ごとに休みを取らせていただきます。私自身は9月のシルバーウィークに取らせていただきますのでよろしくお願いいたします。今日はテーマを離れて、2つの時事問題について書いてみます。
☆医学部女性差別問題☆
東京医大の入試男女差別問題がクロースアップされていますが、昭和卒の医師としてはいろいろな意味で隔世の感があります。私の学年、昭和57年入学の東大理科三類(医学部進学コース)は90名中女子3名。学部進学の際に増えて、それでもたしか(超うろ覚えだけど)105名くらい中7名だった記憶があります。私の大学はかなり極端としても、当時は予備校も男女差圧倒的でしたし、そういう時代だったと思います。某外科は女人禁制だったし。その後、時を経て滋賀医大や東京医科歯科大学で教える立場となりましたが、女子学生の多さに驚いたものです。精神科への入局者も、半数程度が女性となりました。
そしてこの間に、もう一つの医師を巡る大きな環境の変化がありました。以前No.246でもお話しましたが、お医者様から患者様へ、という時代の変化です。こうした医師を巡る環境の変化が、結果として医師から長時間労働に耐えうる力を弱めていると私は思います。そして、とくにハード医療の場において医療崩壊の芽が見えてきています。これまでは、人手不足の中とくに男性医師がハードワークをこなしてなんとか現場を回す…それを前提とするからこうした歪んだ入試になったのでしょうが、ここの本質的なところに手を付けないと、男性を増やせば解決するという次元はもう超えていると感じます。どこの病院でも同様の診療を受けられる時代は終わりを迎えており、中核病院に医師を重点配置して、医師に無理のない勤務体制を構築することが必須となるでしょう。
私達の頃には男性が多いことを正当化する理由としてもう一つ、女子が外科系に行きにくく、科ごとの人数比が崩れることへの危惧もあったと思います。これも現実を見るに、男女差の問題だけに帰結されるものではなく、待遇に差をつける(外科系医師の収入を他科より増やす、手術数に応じたインセンティブ制にする)といった抜本的な改革が必要と考えます。
☆サマータイム制度☆
東京オリンピックを前に、わが国にもサマータイム制度を導入しようという動きがあるようなので、私の意見を述べておきます。私はアメリカ(カリフォルニア・サンディエゴ)留学中にサマータイムを経験していますが、当時の印象は「素晴らしい!なぜ日本はやらないのか?」でした。まだ日が高いうちに終業時間となり、そのあとはスポーツをするもよし、自由に過ごすもよし。一日が二倍になったようなラッキーな気持ちでしたね。しかし、今ここで日本にこれを導入するのがよいかというと、ちょっと賛成できません。理由は2つあります。1つ目は、気候の違いです。サンディエゴは年中温暖な気候で、夏も暑からず、湿度が低いので快適な毎日でした(もちろん、フロリダなどではまた事情が違うでしょうが)。しかし、日本のこの高温多湿の熱暑の中、標準時の夕方4時に仕事が終わったとしてそれから外で遊ぼうと思うでしょうか。エアコンの効いたオフィスから出たくなく、結局残業時間が増えるだけとはならないでしょうか。そしてもう1つの理由。アメリカ人は、もとからon/offの切り替えが上手です。金融マンなど、普段から早朝から仕事をして午前中に終わらせてしまい、ランチを取ったらあとはずっと日暮れまでサーフィンに興じているなどザラです。もともとそういう国民性があるからサマータイムを上手に使えるのであり、もともとワーカホリックの日本人がこれを活用できるのか…いや、活用できないといけないのですが…現状では疑問なわけです。なお、精神医学的にはリズムのずれからくる問題も無視できないと考えられます(やはり、正午が日照時間の中心でないといろいろな問題も起きてくるようです)。
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さて、いよいよ仮面ライダービルドも次回が最終回。主要人物が最終回に向けて死んでいく展開は何とかならんのかと思いつつ、また物体が舞い上がる状況なら空気は全部ブラックホールに吸われてすでに全滅やん、とつっこみつつ、それでも重厚な展開に釘付けです。物理学をテーマにした異色作、パラレルワールドまで出てきましたが、物理法則よろしく美しく終わってほしいものです。
では今日の一曲。前回に続き、シューベルトの甘美なピアノ曲をどうぞ。即興曲(アンプロンプチュ)作品90-2変ホ長調をグレゴリー・ソコロフのピアノでどうぞ。ではまた。

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