福祉用語の基礎知識

WHO(世界保健機関)

WHO(世界保健機関)は、国際連合の数多くの機関の一つであり、国際的な保健・医療に関わる健康問題に取り組み、国際協力の推進を図っています。2005年5月現在では、192カ国であり、事務局本部はスイスのジュネーブにあり、世界を6地域に分割し、我が国は西太平洋地域に所属し、この地域の事務局はフィリピンのマニラに設置されています。
21世紀における健康問題への明確な対応策を見出すためには、20世紀における健康問題への対応策を総合的に点検した後に、21世紀における将来展望を見出すための新しい視点の構築が必要であります。このことは、過去の実績を否定するのではなく、このような視点に立たない限りは、いまだかつて誰も経験したことがない新しい事態へ的確に対応することは不可能であり、専門職としての専門性に基盤をおいた専門的機能を実践し、社会的に求められている専門職が果たすべき指導性の発展が不可能となっています。 20世紀後半の地球レベルの保健・医療・福祉に関わる幅広い分野に大きな影響を与えたのが世界保健機関(World Health Organization:WHO)の発足であり、その基盤となった※WHO憲章であります。
WHO憲章については、わが国では「健康の概念」、つまり健康とは身体的・精神的・社会的に良好な状態であり、単に病気でないとか病弱でないということではないことを国際的に確認した事でよく知られています。しかし、このWHO憲章の歴史的な意義は、前記の「健康の概念」とともに「基本的人権としての健康権」、つまり今日到達し得る最高水準の健康を享受することは、一切の差別なく、すべての人類に与えられた基本的人権の一つであるいうことと、「国民の健康に対して各国政府が責任をもっている」ことを、国際的に確認し合った点であります。
「健康の概念」としての、身体的・精神的・社会的に良好に保たれている状態と理解すべきであります。このWHO憲章を受けて、各国政府は医療受診を必要とする国民の医療受診を社会的に保障するために社会的資源(人材や予算、施設など)を社会制度として組織する「医療の社会化」に取り組むことになります。その結果、基本的人権に基づく国民の保健・医療要求は無限に拡大するが、これに対応するが、これら両者間の格差の拡大が「医療の社会化」に取り組んだ各国で共通の重大な社会問題となってきています。
わが国においても、1961(昭和36)年に、国民皆保険制度が実現し、その後の高度経済成長に支えられて、順風満帆の歩みを示していたが、まもなく訪れた経済不況と経済成長の減速によって、医療費問題が大きな社会問題となっています。
WHO憲章
健康とは身体的にも精神的にも社会的にも完全に良好な状態であり、単に病気がないとか病弱でないということではない。 今日到達し得る最高水準の健康を享受することは人類・宗教・政治的信条・社会的経済的条件などによる一切の差別なく、すべての人類の賦与された基本的人権の一つである。 (略) すべての国の国民の健康に対して責任をもっており、国民の保健水準は十分な保健・医療および社会的な諸政策の遂行によってのみ確保される。