横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.023 強迫性障害(その1)

hitori23-4.jpg横浜院長の柏です。大学でお世話になった先生が開業されることになり、恵比寿までお披露目会に行って来ました。楓の森メンタルクリニック(10/29開院、HPは10/21現在まだ工事中)、の名前の通り、和の建築ですてきな治療空間でした。ベテランの優しい女医さんですので、恵比寿が近い方にはおすすめですよ。
さて、シリーズでお送りしている不安障害ですが、今日から強迫性障害(強迫神経症)についてお話しします。世の中には、いろいろと気にする人、しない人がいますね。しょっちゅう鍵を閉めるのを忘れる人(私だ(>_<))。手を洗わなくても気にしない人。あまりおおざっぱなのも困りますが、気にしすぎても疲れてしまいますね。鍵をかけたか気になって、何度も家に戻ってしまう。ひどい場合は外出自体できなくなってしまう。あるいは外出から帰るたびに10分以上も手を洗い続けてしまい、ひどい手荒れになってしまう。強迫性障害は、このように気になり方が常識の範囲を超えてしまい、かつ自分でもおかしいと思っているのにやめられない状態を指します。 英語では、強迫性障害のことをOCD: obsessive-compulsive disorderと呼びます。obsessionとは心がとらわれている状態のことを、compulsionとは「せずにはいられない」といった衝動性のことを、それぞれ指します。ここで示されているように、「強迫」には二面性があります。すなわち、あることが頭から離れない、気になって仕方ないといった「強迫思考」と、そうした気になることを安心させるがために特定の行動を繰り返す「強迫行為」です。
強迫性障害の方は、この一方あるいは両方の症状を認めますが、病気の重症化、治りにくさと主に関係してくるのは強迫行為、つまり鍵を閉めたか確認しに家に戻るような行動の方です。このメカニズムを見てみましょう
hitori23-1.gifということで、鍵を確認することでその場の安心を得ることはできます。しかし、それは逆に言うと
hitori23-2.gifという経路を強めることにもなるわけです。こうなると、hitori23-3.gifという悪循環の回路ができてしまいます。こうなってしまうと、確認しないと不安で不安で仕方なくなってしまい、確認行為を繰り返し日常生活に多大な支障をきたすようになります。
よって、強迫性障害を重症化させないためのポイントは、この回路を止めることです。どこで止めるのか?「確認する」ところしかありません。そう、いかに確認行為をやらずにすませるか、にかかっているのです。こうした回路はpositive feedback回路と言われ、一度作られ、動き出すと自らどんどん強まっていく(不安の程度、確認の程度が強くなる)のがその特徴です。時間が経てば経つほど回路が強まり症状が重症化することから、少しでも早い段階で、確認行為を行わない工夫をすることが大切です。その工夫とは、いかにそれを流すか、あるいはいかに注意をほかに向けるか、ということになるでしょう。
次回は治療についてお話しします。

コメント

  1. まねきねこ より:

    はい、そうでした。スーパーレンジャーではなく、パワーレンジャーです!
    スーパーレンジャーでは、どうもしっくりしないと思っていました。
     先生、鍵かけ忘れるんですか?まさか、家の鍵とか?車の鍵でもやばいですけど。しょっちゅうなんですか?そ・ん・な・に?私はエアコンを消し忘れる時があります。特に音が静かな最新型はやばいです。なので、あらかじめ、切タイマーをセットしておきます(苦笑)。数分後の自分を信じない(泣笑)。
     先生も漢方薬を処方されるとのことですが、どういうお薬を処方されるのですか?直接精神に働くような薬は、イライラを抑える加味とつく二種類くらいの薬(更年期障害に有効な、加味逍遥散など)しかないように見えますが。例えば、ストレスからくる胃炎とか、全体的な不定愁訴などにお使いになるのでしょうか?強迫神経症にありがちな、脳の異常な緊張や興奮状態を和らげるのにも、有効なのでしょうか?

  2. まねきねこ追加 より:

    先生は、エイトレンジャーって認めますか?ジャニーズなんですけど・・・

  3. 横浜院長 より:

    ジャニーズは、すみません全く専門外です。漢方は、ざっと50種類くらい使っています。うち純粋にメンタルに効果を期待できるものが30種類くらいでしょうか。簡単に書けることでもないのですが、いずれブログでご紹介しますね。