横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.040  腰痛

hitori40.jpg横浜院長の柏です。桜の季節ですね。昼休みの界隈散歩(続いております!)でも新田間川沿いの桜を毎日楽しんでおりますが、今日は晴れ間が出たので、数年ぶりに家族で桜を見に出かけてきました。悪天候の予報だったためか、今年は人が少なかったですね。どこかわかっちゃうかな?
さて今日、日曜日の朝日新聞一面トップは腰痛の記事でした。腰痛はつらいですよね。私も一昨年、急激な腰痛から仙骨椎間板ヘルニアと診断され、麻酔科で硬膜外ブロックを毎週受けてようやく回復した既往があります。椎間板ヘルニアというのは椎間板が出っ張って神経を圧迫して痛みが出るわけですが、手術で切り取らなくても9割以上はよくなるという不思議な病気です。椎間板が出っ張っているのはそのままのはずなんですけどね。
この記事は、日本整形外科学会と日本腰痛学会が一般的な治療の信頼度を診療指針にまとめたものですが、一般的に行われているマッサージ(1ヶ月以上痛む場合)や腰の牽引は根拠なしとされ、逆に強く推奨される治療法として1ヶ月以上痛む場合に認知行動療法、3ヶ月以上痛む場合に抗不安薬が、また推奨される治療法として3ヶ月以上痛む場合に抗うつ薬が、それぞれ挙げられています。
認知行動療法、抗不安薬、抗うつ薬といえばいずれも当院の守備範囲ですが、意外と思われる皆さんも多いのではないでしょうか。先の椎間板ヘルニアの話もそうですが、腰痛(だけではなく痛み全般にですが)というのは物理的・整形外科的な問題だけではないのです。
脳神経系に強いストレスがかかった場合、脳そのもの(中枢)の変調としてみられるのがうつ病をはじめとする精神疾患です。一方で、脊髄以下の神経系(末梢)の変調としてみられるのがいわゆる心身症です。心身症には胃腸の不調、動悸、喘息の悪化などあらゆる身体不調がありえますが、その中でも直接神経系の変調として起こりうるのが疼痛です。とくに腰は、脊髄という最も太い神経から、坐骨神経という末梢神経では一番長い神経につながる大事なところであり、一番痛みが顕在化しやすい場所と考えられます。記事にも出てきた福島県立医大では、以前より整形外科と、私が研修医時代大変お世話になった丹羽教授率いる精神科とで腰痛治療チームを作り、高い効果を上げているそうです。抗うつ薬の中でもサインバルタは、うつ病以外にも糖尿病性神経障害に伴う疼痛への適応があり、欧米ではより広く疼痛に幅広く使われていますし、個人的経験としてはパキシルも疼痛に効果が期待できます。同じ薬が効くということを考えても、脳神経の不調が脳側に強く出たのがうつ病、末梢側に強く出たのが疼痛性障害ということであり、共通の背景を考えるべきでしょう。まだまだ、痛みで心療内科・精神科を受診される方は少ないと思われますが、我々も丹羽先生に負けずにこの分野でも貢献していきたいものです。

コメント

  1. 隊長 より:

    昨年、元旦に歩けなくなり、ようやく受診して腰椎間板ヘルニアでした。
    7月からの暑さで夏バテして、ほとんど食わず状態でいて、17kg体重が落ち、いつの間にか完治しました。
    ところが、今年1月半ばに、前回の下の腰椎間板ヘルニアになってしまい、毎日、再度痛みと闘っています。
    認知行動療法とは驚きました。
    いろいろ、精神とはつながってるのですね。
    大船から関内に居を移したので、クリニック、横浜にするかどうか、迷ってます。

  2. 横浜院長 より:

    隊長さん
    ヘルニア仲間ですね!急性期は安静第一ですよ。といってもお仕事があるとなかなか難しいですよね。早くよくなりますように☆

  3. エン・ケラ・プン より:

    はじめまして、初コメさせて頂きます。
    私も、朝日新聞の腰痛の記事読みました。
    ストレスが腰痛の原因だとは、ビックリでした。私も月経時に強い腰痛があります。
    職場で腰痛に効くクッションを使ったりしてますが、効果がイマイチです。今度の診察時に担当医に腰痛の相談をしようと思いますが、大丈夫でしょうか?

  4. 横浜院長 より:

    エン・ケラ・プンさま
    コメントありがとうございます。
    そうですね、もちろんご相談いただいてよいのですが、心療内科は体の病気がないこと、あるいは身体科的な治療をしても十分な改善が得られない時が出番です。月経時とのことですので、まずは婦人科(あるいは整形外科)でご相談されることをお勧めいたします。