横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.241 医療リテラシー再び

横浜院長の柏です。大谷翔平選手、エンゼルスに決まりましたね。環境を重視して西海岸にしたということですが、わかります。私も渡米の時、実際に留学したサンディエゴの他に東海岸のボルチモアやベゼスダ(ワシントン郊外)からもオファーがあり、待遇はむしろそちらの方がよかったのですが、住環境を考えサンディエゴにしたんですね。エンゼルスの本拠地、アナハイムといえばディズニーランド。サンディエゴから車で1時間半なので、渡米中は家内と年間パスを買い、毎月のように訪れておりました。そういえば車で2時間のユニバーサルスタジオ・ハリウッドの年間パスも持ってましたっけ(笑)。なつかしいですね。
さて、No.204(医療リテラシー)でグーグル検索のリスクについてお話しましたが、ついにグーグル先生が改革にカジを切ったという記事を見ました。おおついに、ということで、同じネタで改めてチェックしてみましょう。
まずは「うつ病」でググってみましょう。一番上は…やっぱり広告かぁ。でも、障害者求人サイトみたいだからまあいいか。その次、というか検索項目の上位、1位から4位は同じサイトの別ページ。やはり製薬会社だねー。5位が厚労省、6位がWikipedia、7〜9位は別の製薬会社で10位がうつ病学会…たしかに、トンデモサイトが駆逐されたのはよかったですが、まだ改善の余地はありそうですね。がんばれ、グーグル先生。
さて、我が国における医療リテラシー問題を端的に示した出来事が最近ありました。月初にあったこんなニュースを皆さんご存知でしょうか。

英科学誌「ネイチャー」などが主宰し、公益に資する科学的理解を広めることに貢献した個人に与えられる「ジョン・マドックス賞」の2017年受賞者に、子宮頸(けい)がんワクチン問題について積極的に発信してきた医師でジャーナリストの村中璃子氏が選ばれた。
(産経Bizより)

ネイチャーとは、自然科学系雑誌では一流誌中の一流誌です。その意味で極めて価値の高い賞なのですが、これを報じた新聞は産経と北海道新聞だけだそうで、三大新聞はじめほとんどの新聞では報道されておりません。子宮頸がんワクチンはヒトパピローマウイルスのワクチンで、小6〜高1女子に公費接種することで将来の子宮頸がんの予防に大きく役立つことが十分な証拠をもって示されています。しかし、せっかく2013年に公費接種がはじまったのに、接種後にけいれんを起こした少数の子どもの動画がニュースで繰り返し流され、マスメディアもこわいワクチンという報道姿勢。厚労省は接種奨励を撤回し、薬害訴訟もはじまるなど、わが国はこのワクチン=悪者一色となります。動画は印象が強いものですが、医学的事実、すなわちワクチンのリスクとベネフィットの全容を表すものではありません。
某隣国では日本を称えると袋叩きにされることもあるようですが、わが国もこの件に関しては同様で、純粋に医学的見地からワクチンの有用性を訴えた村中さんは激しいバッシングに遭います。ワクチン接種後の体調不良の多くは心身症的反応であることが明らかとなっており、これにより年間1万人とされる子宮頸がん発症の予防の手立てが失われるのは、私も医学者として黙っていられません。厚労省は、いまだにワクチンの積極的接種奨励をしておりません。今回の村中さんの受賞が大きな転機になることを願っています。受賞スピーチの概要はこちら
フェイクニュース、というと海の向こうの国の話のようですが、実はこのように身近な新聞報道にもフェイクは隠れていることを知る…それが医療リテラシー、そして情報リテラシーなのです。
今日の一曲、ドヴォルザークのスラブ舞曲から、有名な第10番ホ短調です。No.100のモルダウでもご紹介した、ヴァーツラフ・ターリッヒの指揮するチェコフィルの演奏です。貴重な62年前の動画ですので、音が切れるところもありますがご了解下さい。演奏は至高、としかいいようがありません。ではまた。

コメント

  1. hiro より:

    先生、いよいよ厚労省及び文科省が、中高生を対象に
    ”フェイクN・ワクチン”の接種奨励を本格的に検討し始めましたね。
    いや~これは将来期待できますね~!(笑)
    子宮頸がんワクチンの接種については、何も国が「積極的に」
    奨励しなくても良いのでは?という考えの人も当然いるでしょう・・・。
    でも、その行き着く先には「消極的優生学」の思想が待ち構えていることを、
    決して見逃してはならないと思うのです。