横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.249 感情障害

横浜院長の柏です。暖かくなったと思えばまた寒くなる、これからしばらくは三寒四温の状態が続きますね。皆さん体調にお気をつけ下さい。
統合失調症の中核症状・ブロイラーの四銃士、三番目の感情障害Affektstörungについてお話しましょう。感情障害といいますと、普通はうつ病などの感情の障害=気分障害を指しますね。ずいぶん前ですが、No.042で気分と感情について整理していますのでご参照下さい。喜怒哀楽、で代表される気分=感情。それでは、うつ病などの感情障害と、統合失調症における感情障害とでは何が違うのでしょうか。うつ病では、なんともいえない悲しい、つらい、暗い、重たい感情が表に出てきます。喜怒哀楽でいえば「哀」が残り、ほかの「喜・怒・楽」が薄くなっていく印象でしょうか(No.128参照)。うつ病が重症となると、この「哀」すらも薄くなっていき、最重症ではすべての感情が失われたような状態となります。なお、逆に軽躁状態になると「喜・楽」が強まり、さらに躁状態になるとそれが喜怒哀楽全体に広がり(「哀」というと躁とは反対のようですが、躁状態では感情の変化が急激となり、場合によっては大泣きするようなこともあります)、重症になると感情の嵐といっていい状態が見られます。
では統合失調症ではどうでしょうか。統合失調症では、その中核症状といえる自我障害の現れとして、「生き生きとした感覚」が失われます。その中から感情が低下をきたすのですが、これはうつ病が悲哀のベクトルに向かうのに対して、感情が全体に、均等にじわじわと落ちていく、そんな形をとることが多いようです。世の中がセピア色に、そして白黒になっていく…。そんなイメージでしょうか。
一方で、急性期には神経過敏状態となり、些細なことで喜怒哀楽が激しく動くこともあります。この際も、何か不自然な感情の動きとなり、周囲に奇妙な印象を与えることがあるのもその特徴です。
こう書くとなかなか大変な病気という印象ですが、最近はこうした症状にも効果の高い薬物が次々登場しています。統合失調症を抱える皆さんの笑顔を取り戻すこと、それが私たちの一番の喜びでもあります。
今日の一曲、春の気配を感じはじめるこの頃、聞きたくなるのがユーミンの「春よ、来い」。Hayley Westenraによる英語バージョンはいかが? ではまた。

コメント