横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.153 作用と副作用

横浜院長の柏です。ドライブも大詰め。平成ライダーシリーズ、終盤の盛り上げ方はどれも見事ですね。最終回に余計なことだけしないでほしいもんですが・・・。
さて、くすりをのみたくない理由シリーズ、今日は「副作用がつらい」を取り上げましょう。まず、副作用とは何か、というところから考えてみましょう。
くすりというものは、どんなものも作用と副作用とがありえます。力学で、作用には必ず反作用がある、というのと同じですね。時々、健康食品などで「副作用はありません!」とのたもうているものがありますが、私は「副作用がない=作用もない=人畜無害だが使う意味もない」と私は解釈しています。くすりは人によって作用、副作用の出方も違いますし、同じ作用でも人によっては作用、人によっては副作用ということだってあります(例えば、眠くなるという作用は人によっては夜の安眠だけをもたらし、人によっては昼間の眠気だけをもたらすわけです)。それぞれのくすりの副作用は必要があれば追って書くこととして、今日は大切だけど見落とされやすいことだけ書いておきましょう。副作用というと皆さん、便秘、胃もたれ、だるさなど、体に起こるものをまず思い浮かべられるのではないでしょうか。精神科・心療内科のくすりは当然脳をターゲットにしたものですが、セロトニン受容体やコリン受容体などは脳以外にもあり、そこにも作用してしまうために起こってしまうものがこのようにいろいろあるわけです。しかし副作用は体だけでなく脳そのものにも当然起こります。眠気、集中力低下など、脳全体の機能を下げるために起こってくるものもありますが、今日とくにお話ししておきたいのは、向精神薬の作用そのものによる副作用です。抗うつ薬は気分を持ち上げるわけですが、場合によってはかえってイライラしたり、さらにはアクティベーション・シンドロームと呼ばれる衝動性の高まり、躁状態などを起こすこともあります。抗不安薬はリラックス効果を期待するわけですが、人によっては脱抑制といって性格が変わったように見えたり、危険を危険と思わなくなったりすることもあり注意が必要です。これらはある意味くすりの「効き過ぎ」ともいえる状態ですが、病状として見逃されることも多く注意が必要です。われわれはプロとして、こうした精神への副作用にも細心の注意を払っていきますが、患者さんご本人、まわりの方もこういうこともあるという知識を持ち、気になることがあったら主治医にお伝え下さい。
さて、「副作用がつらい」からくすりを飲みたくない・・・どうしたらいいでしょうか。本当に作用、副作用は人によって出方が千差万別というところがありまして、どんなにたくさんのんでも全くへっちゃらな方もあれば、極少量でも参ってしまう方もいらっしゃいます。近い将来、その場で酵素の遺伝子多型をその場で調べて(あるいは事前に調べてデータ化、マイナンバーに登録・・・うっ、仮面ライダードライブのデルタか??)副作用が少ないものを選べる時代が来るでしょうが、今はそうもいきません。病状にもよりますが、少量からはじめて、副作用の出方を見ながら慎重に増量していくことになります。
次に薬をどう使うか、という観点で考えると、例えば進行がんのような致死性の病気の場合、強い副作用があっても抗がん剤を使うことも多いでしょう。でも風邪くらいであれば、風邪薬は副作用を心配して使わない、という選択肢もあるわけです。うつ病はどうでしょうか。私はいろいろな患者さんを診てきて、うつ病は大変つらい病気だと思っています。風邪みたいに「副作用のある薬は使わない」とできるような簡単な代物ではありません。それは副作用はないにこしたことはないけど、多少の副作用のリスクはあっても、うつ病がよくなる可能性が少しでも高いなら、私が患者の立場ならくすりを飲むと思います。つまるところ、①病気の重大性、②作用の強さ(病気がよくなる可能性)、③副作用の強さと頻度、この3つをよくよく考えてくすりを使うかどうかを決めることになります。われわれは専門家として、うつ病であればくすりを勧めることが多いと思われますが、最終的にのむかのまないか決められるのは皆さんです。うつの時はものを考えるのも大変なこともありますが、ここは大切なところですので、よく主治医と話し合って下さいね。
ところで、例えば抗うつ薬といってもSSRI, SNRI, NaSSA, 三環系、四環系など様々な選択肢があります。適切な薬剤選択により、副作用をなくしたり最小化できる可能性があります。副作用でお悩みの際は、遠慮せずに主治医とよく相談して下さいね。
では今日の一曲。やっとYouTubeにあがりました。さあみんなで歌おう(^o^)

コメント

  1. 横浜院長 より:

    訂正です。
    「仮面ライダードライブのデルタ」→「仮面ライダードライブのシグマ」です。
    診察室でSさんに指摘されてしまいました(汗)。
    焼きが回ってるなぁ・・・。

  2. パパゲーナ より:

    院長先生、こんにちは(^。^)
    シルバーウィークって何のこと?という職場におりまして、この週末も休養にこれ務め、外出のガの字もなくベッドに横たわっている、パパゲーナでございます(;^_^Aウツ病患者、何でこんなに矢鱈滅多ら疲れ易いのでしょう〜♪
    イカ大王の貼り付け画面をプレイする前に見て“あっ 蛭子能収!”と思いましたが動画が始まると、グッチ裕三に見えました(笑)しばらく見ていましたが、グッチ裕三にしては動きにキレがないことに気づき(;^_^A。。。大王イカ&深海魚ファンのワタクシとしては相方にリュウグウノツカイとかも出して欲しいです(笑)
    そう言えばワタクシ、ウツの病を得てから、親しい友達との会話で“私、深海魚みたいになっちゃったのよネ〜♥︎”とおちゃらけて話したものです。。。深い意味はあまり考えないで口をついた言葉だったんですが、今でも言い得て妙かなぁーと思っております。

  3. 匿名 より:

    久しぶりに拝読させていただきましたが、、。
    趣味変わったんですか?
    でも、やはり先生も笑いたい時ありますよね!(^^)
    これから楽しい音楽よろしくお願いします!
    笑いましょう、みんなで‼︎

  4. 横浜院長 より:

    パパゲーナさん
    動きにキレがない(笑)むむぅ、かのケント・モリの振り付けなのですが
    塚地の限界でしょうか(笑)
    深海魚・・・大丈夫、だいぶ浮上してきていますヨ!
    そういえば双極性障害の組織の名前は「ノーチラス会」ですね。
    かのジュール・ヴェルヌ「海底二万マイル」の潜水艦です。いろいろ連想がふくらみます。
    匿名さん
    いえいえ、趣味変わっておりませんよ。時々TV番組に家族ではまるだけです(汗)。
    そうです、みなで笑いましょう!!