横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.196 ドン・キホーテ

hitorigoto-196a.jpg横浜院長の柏です。博多のヤシオリ作戦、順調に進んだようでよかったですね。20数年前、私は府中の競馬場そばに住んでおりました。当時、国道20号沿いに深夜までやっている怪しいお店があり、ナイトドライブがてらよく遊びに行きました。倉庫みたいでごちゃごちゃ雑然、独特のオーラを放っておりました。その店の名前はドン・キホーテ。当時はここと、たしかもう一店舗くらいのローカル店で、20年余り経った今、このようにわが世を謳歌しているとは当時はまったく思いもよらなかったものです。
ドン・キホーテといえばセルバンテスの名作。騎士道精神に取り憑かれ、風車に突撃する妄想性障害の紳士の物語ですね。さて、現代のドン・キホーテ。60年代の古き良きアメリカに取り憑かれた新大統領の冒険物語は、いったいどんなお話になるのでしょうか。まさかの選挙結果はありますが、Brexitをはじめとする最近の世界の変化の潮流からすると納得できるものでもあります。
戦後レジームが旧態化し、労働と別次元で一部富裕層に富が集中する。中露の新帝国主義が勃興し、キリスト教徒とイスラム教徒の間では十字軍の時代を思わせる宗教戦争の端緒が見え、こうした状況から生まれた大量の中東難民は欧州に押し寄せる。ゲルマン民族の大移動以来の民族大移動かも知れません。わが国も、地政学的に東シナ海や沖縄在日米軍の問題もからみ、こうした波とは無関係ではいられないでしょう。わが国は戦後、江戸時代以来の長期にわたる平和で安定した文明を発展させてきました。しかし、歴史は安定(Stability)と混沌(Chaos;カオス)を繰り返しています。
hitorigoto-196b.png長すぎる安定は閉塞と不平等を生み、混沌(カオス)は一定の犠牲を生みながらも新たな秩序を生み出し、次の安定につながります。これは政治に限らず、生物の生態系や、脳のはたらきでも同じです。脳における神経回路の構築はカオス変動を生みますが、それが脳の多様性を生み、豊かな生活の基盤となっています。カオス(混沌)というとただの混乱のようですが、実はそうではなく、カオスの奥にはわれわれには見えない秩序(決定論的規則)が存在し、それによって脳は「創発」と呼ばれる素晴らしい働きをすることができるのです。それは歴史における混沌も同じことでしょう。新興国の文明化が進み、世界の限りある富、資源の再分配をどう行うのか。地球環境はそれに耐えうるのか。今こそ、人類はもっともっと智恵を出し合っていかなくてはいけません。
まあしかし、アメリカ好きの私としてはトランプ頑張ってほしいです。そして安倍首相も、うまくこのドン・キホーテとわたりあってほしいものですね。
ちょっと難しい話になってしまいましたね。今日の一曲は・・・ご想像通り、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」です。サヴァリッシュ指揮のN響、なつかしいですね。

コメント