横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.225 発達障害キャラ

横浜院長の柏です。No.195でご紹介した佐々木正美先生が、先月お亡くなりになられたという報道がありました。謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。
佐々木先生は小児精神医学の権威でして、私は小児を専門としていないこともあり、お教えいただいたことが一番役に立ったと感じたのは自分の子供たちとの接し方のところだったと思います。しかし、最近こうしてたくさんの発達障害を抱えた方々(主として大人)と接する中で発達課題について考えることも増え、佐々木先生の教えの重要性を再認識しているところです。
発達障害を抱えた方の場合、今現在の発達特性に基づく困難がまずありますが、それだけを捉えるのでは発達障害者の理解は不十分です。彼ら・彼女たちは幼少からそうした特性を抱えて育ってきており、その間、特性に基づく困難・不適応があり、また周囲の無理解・誤解もそこに重なっています。こうした発達軸の中から現れる長期的課題も踏まえ、二次元的・三次元的に患者さんの全体像を見て、はじめて発達障害の困難の理解に近づくことができます。大人の患者さんの場合でも、生育歴・発達歴の分析が必要なのは診断をつけるという理由だけでなく、こうした理由もあるのです。
hitorigoto-225.jpgさて、今ビデオに録ってた「カーズ2」を見終わったところですが、この映画の準主役級のレッカー車「メーター」、相手に関係なく一方的に自分の好きな話を続ける、メカのオタッキーな知識は圧倒的、とバリバリの自閉スペクトラムですね…。


かと思えば、日本でも公開開始となったパワーレンジャー、今回はブルーが自閉スペクトラム、イエローがLGBTというすごい設定のようです。見に行かなくては、ですね。しかし、最近のハリウッドはpolitical correctnessの勢いがすごいですね。マイノリティの存在が注目され、世の中の理解が深まるのであれば素晴らしいことであり、自閉スペクトラム、LGBTと私が担当している患者さんでも相当数いらっしゃるわけですが、その方たちの力になれば、と思う次第です。ただ、あの国のやることはやりすぎだなと思うところもありまして、先日の実写版「美女と野獣」ではお城の人たちにアフリカン・アメリカンの方々が(あ、この表現もpolitically correct)いたわけですが、しかし中世のお城にそれはないわな、とモヤモヤが残るところもあるわけです。なかなか難しいところですね。

もうひとつ、ご存知セサミストリート。私が子供の頃からやってるご長寿番組ですが、こちらにもなんと、自閉症のジュリアという新キャラが登場しています。ビッグバードなつかしいなぁ。
最後に今日の一曲のコーナーですが、シチリアーナ3連発の3発目としましょう。レスピーギ、フォーレに続いてはバッハ作曲、フルートソナタ変ホ長調BWV1031から第2楽章「シチリアーノ」です。こっちは男性名詞の「アーノ」なのですが、どう違うんだかよくわからんです(汗)。ジャン・ピエール・ランパルのフルートです。皆さんも聞き覚えのあるメロディーではないでしょうか。

こちらはヴィルヘルム・ケンプ編曲のピアノ独奏版です。キーシンの演奏でどうぞ。どちらも素晴らしいですね。

ではまた。
(注:精神神経学会では「発達症」という用語を推奨していますが、世の中の流れ的に(NHKの特集もそうですね)「発達障害」という用語が広く使われていますので、当ブログでもそちらを使っていくことにします。)

コメント

  1. 左から3番目のしろたん より:

    入院して、
    辛い、苦しい、悲しいのトリプルパンチと自分だけで闘わなくてはならなくて、
    気が紛れるかと、柏先生のブログめぐりをしています。
    ひとつ前のブログにも、コメントさせていただきました。読んでいただけると、幸いです。
    偉大な先生が亡くなってしまわれたんですね。。。
    ご冥福をお祈り申し上げます。
    私も、つい先日小学校の時の同級生を亡くしまして。。。
    YouTubeを見たりゲームをしたりすれば、今までは何とかやってこられました。
    でも、彼女の旅立ちを知ってから何もする気がおきず、YouTubeにかじりつくどころではなくなり、1日中彼女のことで頭がいっぱいで涙にくれる毎日です。。。
    今回の旅立ちの知らせを聞いてから、『亡くなる』とか『死』とか『死顔』とか『ご遺族』とか『御愁傷様です』とかいう表現が大嫌いになりました。
    彼女の旅立ちを無駄にしないためにも、早く前向きに生きていかなければと己を諭すのですが、ショックが大きすぎて、まだ難しそうです。
    いつか、前向きに生きていくことができる日が来ますかね?
    前向きになってしまったら、彼女の旅立ちを忘れてしまいそうで、怖いです。
    でも、生きている人間がニコニコ笑って毎日を大切に生きていることが最大の供養だとネットの記事で読みました。
    たびたびこの世から消えたいと思ってしまう私は、約9年前に急逝した母方の祖父や約4年前に亡くなった父方の祖父や今回の同級生の彼女の供養ができていないのでしょうか?
    祖父達のお墓参りに何度行っても何度年末に手紙を書いたりお仏壇にお線香をあげたりしても、まだ心の整理ができません。
    その一方で、祖父達がいない生活に慣れていってしまっている自分もいて、すごく悲しいです。
    祖父達と同じように、彼女がこの世にいないことに慣れていってしまうことが、怖いです。
    でも、最大の供養がニコニコ笑って生きていることなら、前向きにならなくてはいけないですよね。
    それには、時間がかかってもいいのでしょうか?
    今の私には、病気の治療に励むことが前向きに生きていくことに繋がる唯一の道だと思います。
    入院で症状が改善するか、分からない部分が大きいですが、頑張ります!!
    彼女の旅立ちを無駄にしないために。

  2. 左から3番目のしろたん より:

    たびたびすみません。
    年齢的には充分に大人なのに、
    母や父、その他の大人や入院先の先生などがおっしゃっていることをうまく理解して自分の中で咀嚼するということができないのですが、(母に訊くと、充分に噛み砕いて説明してくれてるよと言われてしまいました。)
    これは私の精神的な年齢が小学生で止まっているからなのでしょうか?
    それとも、やはり発達障害の気があるのでしょうか?
    教えていただけると幸いです。

  3. 横浜院長 より:

    目の前の生活を、前向きに生きていくこと。今は病気の治療に専念すべきこと。先立たれた方々があなたにそれを望んでいることはわかってらっしゃるようですね。
    無理に頭に残そうとしなくても、大切な人のことは忘れるわけがありません。
    しかし、日頃からずっと意識にのぼっているようではいけません。普段は目の前の生活に集中し、時々故人を偲ぶ。そうありたいですね。
    二通目ですが、うつ状態の時には判断力・思考力が低下します。それで十分説明可能ではないでしょうか。じっくりエネルギーを蓄えて帰ってきて下さいね。

  4. 左から3番目のしろたん より:

    まだまだ辛いですが、少しずつ同級生の旅立ちを受け止められてきている気がします。
    早く普通の人と同じレベルの生活が安定的に送れるようになりたいです。
    今回の同級生の旅立ちを機に、どんなに辛くても生きることや病気の治療を放棄しないと決意しました!
    もし、またうつになって、私が放棄しそうになったら、こう言っていたと診察で教えてください。
    私も、絶対にこの決意を忘れないように努力します!
    でも、うつになると、なしくずしに消えてしまうかもしれないので。
    彼女の旅立ちを忘れないといいのですが。。。
    何せ小学校卒業以来会わずに旅立ってしまったので、忘れてしまいそうです。。。
    少しずつ、心の充電、できてきています。
    でも、今はまだ同級生の旅立ちが頭を支配している時間が長いです。。。