福祉用語の基礎知識

自己決定

利用者とその家族が、精神保健福祉と精神医療で、もっと多くの課題に自己決定ができる立場が与えられることが、今後の精神保健福祉と精神医療の発展のためには不可避の本質的な重要性を持っています。
活動の主眼を人権におくことにより、必然的に予防と早期介入が重要な課題となってきます。予防と早期介入は、これまで取り上げられることが少なかったが、利用者の自分の健康への自覚と、そのための自己責任・自己決定により、医療・福祉従事者側と協同で治療的同盟をつくり出すことが戦略的に求められるからです。これまでの精神保健・精神活動では、精神障害の予防、とりわけ一次予防は高すぎる目標として扱われて来ませんでした。
また、二次予防は、近年、統合失調症家族の表出感情を手掛かりとする家族への働きかけが具体化する中で、ひとまず、手掛かりがみえ始めているが、それを医療従事者の技術として矮小化しないためにも、利用者の健康への自覚と自己責任・自己決定による活動への参加がなければなりません。それを達成するためには、決断と行動を助ける適切な訓練と広範な情報収集力が伴わなければなりません。
精神医療では、利用者と家族の意志決定能力とは、個人的予防と受療活動への意志決定能力であり、これはまた、どのタイプの治療法が適切か、どのような治療行程が適切かについて、利用者と家族が意志決定能力をできることでもあります。自助・互助グループの支援活動の発展は、これらの意志決定を進める上で必要な情報と支援が与えられる機会を各段に増大させています。
医療についての評価や情報では、いまだに医療サービス供給者側の情報専有の傾向が強いとしても、しだいに利用者側への情報開示は進み、多くの情報が公開されることになるでしょう。