横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.011 「行き過ぎた」不安とうつ

横浜院長の柏です。
台風4号すごかったですね。火曜夜に来院されていた皆様は無事帰れましたか。
さて、前回は短期・急性ストレス反応としての不安、長期・慢性ストレス反応としてのうつについてお話しました。これらは人間のストレス防衛反応として必要不可欠なものです。不安がなければ、絶対に勝ち目のない相手にも平気で向かっていってしまうでしょうし、うつがなければ、その相手に全力を出し続け、最終的に逃げるエネルギーすらなくなってしまうことになるでしょう。これらは、命を守るためには絶対に必要なものなのです。
しかし、何事も過ぎたるは及ばざるが如し、です。体を守るための免疫反応も、行き過ぎるとアレルギーとなり体にとって害となります。適度な不安やうつは不可欠ですが、行き過ぎた不安やうつはやはり体にとって害になり、治療が必要となります。
ではどのような時に「行き過ぎた」(すなわち病的な)不安やうつが生じるのでしょうか。これには、3つの要因を考える必要があります。
(1)内因(脆弱性)
いきなり難しい言葉でごめんなさい。「ぜいじゃくせい」と読みます。もともとの病気になりやすさ、と言ったらいいでしょうか。おそらく先天的な脳の構造上、機能上の脆さ(もろさ)のことです。残念なことではありますが、うつ病や不安障害になりやすい素質の方が一定の割合でいらっしゃる、という現実があります。
(2)性格要因
前者が先天的なものなら、こちらは後天的なものといっていいでしょう。育った環境と、成長するにつれてのものの考え方・行動とが相互作用しながら培われてきた、その人なりのものの見方・考え方といったものです。これによって、同じ出来事に対しても不安やうつが強まる捉え方をする方がいらっしゃるわけです。
(3)外因(環境要因)
直接のストレスとなる環境、出来事、対人関係といったことです。当然これが強い方がより不安、うつを引き起こしやすいわけですが、量的なことだけでなく質的なことも考える必要があり、程度を評価するのは難しいところもあります。
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この3つのバランスの崩れにより、病的な不安やうつはもちろん、あらゆる精神障害はひきおこされると言ってよいでしょう。この3つは病気のおこり、そして治療を考える上で大事なポイントとなりますので、今後折にふれてこのブログに出てくると思います。しっかりさらっておいて下さいね(笑)。

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