横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.016 病気の成り立ちと治療(その1)

横浜院長の柏です。
仮面ライダーフォーゼ、感動の最終回でしたね。放映開始当初はどうなることかと思いましたが、平成ライダーの中でも特異な魅力を放つ作品になったかと思います。
さて本題です。予定では不安障害について、病気ごとに順を追って書いていくつもりでしたが、書いているうちに心療内科ならではの病気の捉え方、治療の原則について先にお話した方がよいと思うようになりました。
ブログNo.11 でお話ししましたが、心療内科・精神科の病気は脳、性格、環境の相互作用、バランスの崩れから生じてきます。ここで、「脳」という臓器の特性を正しく捉えておくことが、治療においてとても大切なこととなります。
病気とは、外部から来るストレスに対して、体がそれを防ぎきれない時に起こります。たとえば体に入ったバイ菌が中で増えてしまうと、感染症が発生します。この時体は防御機能を働かせ、バイ菌を退治します。その際、体にはそのバイ菌に対する「免疫」ができ、次から同じ病気にはかかりにくくなります。これを「耐性」といいます。ところがこれが脳の場合、外部からストレスが来ていったん病気になると、脳の中に「ストレス回路」が作られます。これは、身を守るために必要なものなのですが、「より病気になりやすい」状態を作ってしまうというやっかいな側面もあります。つまり、「ストレス回路」が活発に働いている間は症状が続いてしまうこと、またこの回路が落ち着いたあとも、同様のストレスがかかった際にまた回路が活性化され、症状が再燃する可能性があるということです。
言い替えると、脳は強いストレスにさらされ病気になると、より「揺れやすい」状態になるということです。一度かかるとかかりにくくなる感染症は逆の現象で、専門的には耐性の反対なので「逆耐性」とも呼ばれます。
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本来、脳はこの図のように安定した平衡状態にあります。多少ゆれてももとの場所に戻ろうとする力が働き、バランスは保たれます。
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ところが病気になると、この図のように脳は不安定な平衡状態に変わります。ちょっと刺激が加わっただけで、ゴロゴロと坂を落ちていく危険があります。
心療内科の治療は、こうした脳の特性を踏まえて行います。ポイントは
・まず早急に、坂から落ちないようにしっかり支える
・時間をかけて、坂そのものを直していく(平衡状態を戻していく)
の2点です。次回、これらについてより詳しくお話しすることにします。

コメント

  1. まねきねこ より:

    暑い日が続いておりますが、先生におかれましては、ご活躍のご様子
    安堵しております。
     さて、先生は、戦隊ものとかウルトラマンとか、お好きなのですね。アニメはいかがですか?私は昔、ガッチャマンが好きでした。華麗なアクションが好きだったのが、ずっと現在につながり、今は中国映画のワイヤーアクションに魅せられています。
     
     今回の病気のお話は、図が入っていてわかりやすかったです。

  2. 横浜院長 より:

    まねきねこ様
    コメントありがとうございます。あれ、私のことをご存じの方でしょうか??
    私はオタクの走りを自認しておりますので、アニメも80年代までなら超詳しいです(^_^;
    ガッチャマンは名作ですね。同じタツノコだと、個人的にはウラシマンがおすすめです。
    医者になって以来、多忙もあり特撮に集中しております。エヴァ以降は全然ついていけてない状況です。。
    ブログはなるべく平易にわかりやすく、と思っておりますが、わかりにくい点などありましたらぜひご指摘ください。今後ともよろしくお願いいたします。

  3. まねきねこ より:

    アニメにもお詳しかったんですね。ウラシマンは、聞いたことはありましたが、知りませんでした。今年の11月から再放送が始まるそうです。
     私は銀河鉄道999以来、アニメとは遠ざかっていましたが、久しぶりに「ジパング」という作品にはまりました。こちらもタイムスリップものなので、オスプレイ(?)に乗った
    海軍少佐が戦艦大和に降り立つという名(?)場面があります。でも、オスプレイがゼロ戦に襲撃されるので、今だったら放送できなかったでしょう。