横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.053 How much bipolarity?

横浜院長の柏です。またまた神戸からの帰りの新幹線で書いています。ADHDや双極性障害の診断において、DSM-5での変更点についての講演を聴いてきました。
双極性障害についてもいろいろな変更があったのですが、コンピュータの新機種と同じで初期バージョンにはいろいろ誤りや混乱があるようです。もうちょっと落ち着くまで(5.1が出るまで?)様子を見るのがよさそうです。
さて、皆さんお待たせしました。いよいよ双極性障害の話に入っていきましょう。双極性障害、すなわち躁うつ病は双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害に分類されます。大ざっぱには、ブログNo.047でご紹介した躁状態を呈するのがⅠ型、軽躁状態を呈するのがⅡ型ということになります。典型的な躁状態ではじまるⅠ型の方の場合は診断は比較的容易ですが、実際には難しい場合がままあり、とくにⅡ型の場合、軽躁状態の有無の診断は、ご本人に自覚がない場合も多く大変難しいのが現状です。とくに初発がうつ状態の場合、横断面の症状だけではうつ病と双極性障害のうつ状態を見分けることは不可能であり、それまでの経過や病前性格などから双極性の要素を見抜くことが、われわれプロフェッショナルには求められています。それでも双極性障害の方で、最初にかかった医師からそう診断を受けた方は全体の2〜3割に過ぎず、正しい診断を受けるまでの平均年数は9年余り、と現実は厳しい、というデータが並びます。
こうした状況を打開しようと、ハーバードあたりでは研修医に対して指導医が“How much bipolarity?”(その患者さんの双極度はどれくらい?)と質問するそうです。うつ病をはじめとする気分障害の診察において、常に双極性の要素を念頭においておくことの大切さを説いているのでしょうね。
発達障害がDSM-5で自閉症スペクトラム障害(ASD)となった、というお話をしたところですが、双極性障害にも双極スペクトラムという考え方があります。ASDで「自閉度」の濃淡が問われているように、双極スペクトラムでは「双極度」の濃淡を見ます。”How much bipolarity?”ですね。DSM-5では結局直接は採用されませんでしたが、この双極スペクトラムは大切な考え方ですので、次回以降でもう少し詳しくお話しすることにします。
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ところで先日、ついに、ついに、待望の・・・(うるうるうる)「走るウルトラヒーロー号」に乗ることが出来ました!(写真ブレブレですみません)なんせ普段は車通勤であまり電車に乗らないものですから、乗ったよ!という家族の声をずーーっと恨めしく思っていたのでした。おっと、相鉄沿線住まいバレバレですね・・・。

コメント

  1. 隊長 より:

    うーん、奥が深い。 というか、自分がどこにいるかの確認ができるかと思ってましたが、わからないことだらけなのかな、と言う感じです。
    土曜日は理事長の診察です。

  2. 横浜院長 より:

    隊長さん
    医師が客観的に見てもどこにいるかわかりにくい現実があり、主観的に自らがどこにいるかの確認をするのはなかなか難しいことです。でも、これができるようになることは大きな前進ですよね。どんな症状があったらどの位置にいるのか、わかるようになれば素晴らしいと思います。

  3. パパゲーナ より:

    お暑うございます。
    院長先生も円谷プロのファンでらっしゃるんですね(^^)
    そう言えば円谷プロは“特撮のパイオニア”でしたですネ。
    ウルトラQや怪奇大作戦など、
    当時子供心にとてもカンジルものがありましたが、
    大人になり再度見直したときには、素晴らしさに
    引き込まれてしまいました~♪
    特に怪奇大作戦の“京都買います”は素晴らしいです。
    まさに総合芸術の名に恥じない作品ですね。
    岸田森の大ファンのワタクシ(本当に年齢がバレます。。汗。)にとって
    円谷プロはドリームチームでございます。
    院長センセイ、最近めっきりお痩せになられたご様子。。。
    紺屋の白袴、医者の不養生(^^)なんて諺もございます。
    僭越ではございますが、どうぞお体にお気をつけて

  4. 横浜院長 より:

    パパゲーナさん
    円谷プロ、調子に乗って次のブログに書きましたのでご覧下さいな。
    岸田森は私も大ファンです(天本英世と双璧)。同世代ですな(笑)。帰ってきたウルトラマンの展開があまりに衝撃的で、子供心にトラウマ体験でしたね。
    怪奇大作戦、恐怖劇場アンバランス、マイティジャック、この頃の円谷プロはすごかったです。
    最近みなさんにやせたって心配されます(^_^;
    ダイエット大作戦終盤で、計画通り若い頃の体重に戻したところなのですが。

  5. まねきねこ より:

    も~センセ、個人情報自らバレバレじゃないですかw
     先週は、私のコメントにいろいろと深いお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。
     うつ病にかかると、ほとんどの人が(自分を含め)「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまいますが、実は、文学者、芸術家には、うつ病の偉大な人物が多数いるのす。  中でも、お釈迦様は王子様のころ、生まれて初めて王宮の外の世界を見て(四門出遊)老病苦死を知り、うつ病になってしまうんですねえ。それでもその後、仏教を開き、二千年以上にわたり、東洋を中心に、世界中の人々の心を救い続けているわけです。
     それから、あの名宰相チャーチルはもう、うつ病で有名ですよね。ヒトラー相手に第二次世界大戦を戦えば、うつ病にもなるだろうなあとも思いますが、戦前からもう、病気だったのでしょうか?だとしたら、病苦を抱えて大戦を乗り越えなければならなかったのは、想像を絶する状況だったと思います。機会があったら、チャーチルの自伝も読んでみたいです。
     話変わって、先生、NHKプレミアで手塚&石ノ森特集をやってますね。石ノ森先生は数多くの特撮ヒーロー、ヒロインを生み出しました。石ノ森先生あっての特撮ヒーロー!先生、やっぱりチェックしてます?
     先生、そんなにお痩せになったんですか?スタミナラーメンでもお召し上がりになって、熱中症にはくれぐれもお気をつけてくださいね。私が大学生のころまでは、その年の夏の最高気温が33度なんて言ってたのに・・・。

  6. パパゲーナ より:

    きゃ〜(>_<)!!天本英世と言えば、我らが永遠のダークヒーロー、“死神博士”ではございませんか!サワヤカな役ドコロでは“二十四の瞳”の高峰美枝子の夫役とか、黒澤映画のチンピラ役などでは個性的でユーモラスな芝居が光っておりましたですねぇ(^^)。。すみません、さすがに話が古過ぎでしたか。。
    岸田森と天本英世はまさに怪物ならぬ、素晴らしい怪優でした。いつまでもいつまでも、活躍していただきたい俳優さんでした。
    院長先生、円谷プロのについて、また加筆して下さるそうですネ!特撮はまさに円谷プロの“御家芸”ですが、特撮に一格言お持ちの柏センセイが、どんな角度からこのゴールデンチームにアプローチして下さるのか楽しみにしております (ू•‧̫•ू⑅)

  7. パパゲーナ より:

    まねきねこ さま
    お釈迦さまが修行される前にうつ病になったというお話、うつ病キャリア、また仏教徒として大変興味深く読ませて頂きました。ありがとうございます(^^)