横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.171 コントロール

横浜院長の柏です。毎度すみませんが、なかなか忙しくてブログが停滞しております(汗)。さて、私はいろいろ編集方針に腹が立つこともありながら、子どもの頃から新聞はずっと朝日で来ております。まず見るのは経済面でも国際面でもなくスポーツ面という小市民ですが(^_^;。そのスポーツ面では、西村欣也氏の記事はなかなか深いものがあり好きだったのですが、なんとこのたび定年とのこと。その、最後のEYEにこんな記事がありました。

西村欣也 朝日新聞2016.2.27 EYE より
超一流アスリートを取材していて生き方を教わることがある。例えばイチローと松井秀喜だ。全く違う個性の2人から同じ言葉を聞いたことがある。
イチローが首位打者争いをしていた時、ライバルのその日の成績を伝えた。彼の言葉は「愚問ですね。彼の打率は僕にはコントロールできませんから」。
松井はヤンキース1年目、出だしでつまずいた。成績があがらない。ニューヨークのメディアは厳しい。「気にならないか」と松井に聞いた。「気にならないですよ。だって彼らの書く物は僕にコントロールできないもの」
つまり、自分にコントロールできることとできないことを分ける。コントロールできないことに関心を持たない。これは日常生活にも採り入れられる生き方だと思った。

自分にコントロールできることは努力するが、自分にコントロールできないことには関心を持たない。なかなか、凡人には到達が難しいことではあるのですが、とても大切なことだと思います。当ブログでは、No.126で人のこころをコントロールすることは難しいことについて書きました。できるのは、あくまでも自分をコントロールすること。その結果として、人に認められるようになれば、それもまたよし、というくらいでないといけません。
一方で、自分をコントロールすることについても、そんなに生やさしいことではありません。イチローはあのストイックさで自分をコントロールしていますが、常人になかなかできることではありませんよね。そもそも、自分を完全に客観的に見ることなどできません。それが不可能だということを数学的に証明したのが、ゲーデルの不完全性定理ですね。しかし中には、自分を、あるいは周囲を完全にコントロールしないと気がすまない方々があります。「強迫性」と呼びますが、これはいろいろな病気で現れてきます。
「強迫性障害」そのままですね。ものが決まった順で並んでいないと気がすまない、左足から歩くなど決まったパターンで行動しないと気がすまない(儀式的行動)、などなど。
「自閉症、発達障害のこだわり」いつもと違うパターンが許せず、パニックをおこす。同じ服でないとだめだったりすることも。
「拒食症」No.097でもお話ししましたが、「現代の強迫性障害」とも呼べるこだわりを示します。体重を、体型を、完全にコントロールしようとする病気です。しかし実際には、減れば減るほどますます減らしたくなってしまいます。
これらの病気は、いずれにしても自分や周囲をコントロールするはずが、気がついたらコントロールさせられている・・・そんな病気なんですね。
○○であってほしい→○○でないとだめ→○○にさせられている
気がついたら、本当はそんなことをしたくないのに儀式をさせられている。気がついたら、体重計の奴隷となっている。何事も完璧にコントロールすることなど、できるはずがありません。コントロールするのとされるのは表裏一体なんですね。やはり、何事も中庸が肝心です。
今日の一曲、遺産シリーズ第3弾は真打ち登場、NHK「未来への遺産」の音楽です。武満徹の音楽と、佐藤友美演ずる「幻影」とがミステリアスな雰囲気を醸し出し、不思議な魅力にあふれていました。私が小6〜中1の頃ですが、NHKのムック本も買い揃えてハマってましたね。遺跡好きの西中社会科・北爪先生の影響も大きかったなぁ。先生、お元気ですか?

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