横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.282 復活!サタデークラブ

hitorigoto-282.jpg横浜院長の柏です。今日はNo.179 でご紹介した渋谷のライオンでモーツァルトを聴きながらこの草稿を書いております。まずはお知らせから。当院では、かつて「サタデークラブ」と称して成人発達障害者(自閉スペクトラム症)のためのグループワーク(ショートケア)を行っておりました。内容はここここでご確認いただければと思いますが、担当ワーカーの退職もありしばらく休業を余儀なくされておりました。このたび、新たなスタッフの元、よりパワーアップした形で「サタデークラブ」を再開させていただくこととなりましたので、今日はそのご紹介です。なお、今回の募集のお知らせはこちらをご覧ください。
当院には、多数の成人発達障害者の方々にご来院いただいております。成人発達障害は、空気が読めない、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症(ASD)の方々と、不注意、衝動性、多動といった課題を有する注意欠如多動症(ADHD)の方々とがあります(学習障害(LD)単独でクリニックにいらっしゃる方はほとんどありません)。ASDもADHDも、それぞれの特性があり、世の中で多数をしめる発達障害でない人々(定型発達者)との特性の違いが、現代社会での生き辛さに直結しています。ある意味、日本で暮らす外国人の方々と似た困難があるとも言えるでしょう。大きく生活習慣が異なる環境で暮らすことは通常ストレスで、それを楽しめるくらいの方でないと、うつ状態になることもあるかと思います。大事なことは、自分の特性の長所をうまく活かせる工夫をすること、そして環境を選ぶこと。そして郷に入れば郷に従えで、定形人種の習慣を理解してそれに合わせる工夫をすることも大切で、不当に敬遠されたり衝突したりしないためにも必要なことと言えます。No.272 でご紹介した借金玉氏が『「部族」の慣習や祭礼』などと書いていたのは言い得て妙と心得ます。サタデークラブは、SST(生活技能訓練)やグループディスカッションなどをメインプログラムとして、DSM-5で「社会コミュニケーション障害」とされるASD特性を抱えた方が社会的場面でのコミュニケーションスキルを伸ばし、より安定した社会生活を送れることを目標に行われます。卒業生の方々も、私の外来にたくさんいらっしゃっていますが、多くの方がこの経験を生かして社会生活を送っております。前回までは月一回、半日のプログラム(ショートケア)で全6回だったのですが、今回はパワーアップして月二回、全12回で行います。集団は苦手、コミュニケーションは苦手という方、あなたこそぜひご参加下さい。参加条件としては、18歳40歳未満でASD診断を受けている方(ADHD単独診断の方はすみません今回は対象となりません)、ハートクリニックに通院中の方(横浜以外でもOKです)、そして社会スキルの向上をはかる意思のある方です。参加ご希望の方は、開始前に一度私が面接して、グループ適性の確認をさせていただきますのでご了解下さい。最大9名、ご希望の方はお早めにお声かけ下さいね。
さて、イチローがついにバットを置きました。超一流のなんたるかを、プレーで、そして多くの言葉で教えてくれたイチロー。長い間ありがとう。お疲れさまでした。さきほどの話との関係でいうと、イチローはアメリカでは外国人だったわけで、いろいろあったがだからこそ、人の心を慮ったり人の痛みを想像できるようになったといいます。引退会見の最後は非常に印象的な言葉で終わっています。みなさんもぜひ聞いて、そして考えて下さい。


今日の一曲は、大リーグで7回表終了時に流れる”Take me out to the ball game”をどうぞ。ロサンゼルス・ドジャースタジアムでの映像です。動画から、球場の雰囲気をお楽しみ下さい。ではまた。

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